スイスの化学大手ロンザ外部リンクが、ヴァレー州フィスプの工場から発がん性の疑いがある溶剤を排出して水源を汚染し、連邦水質保護法違反および飲料水の汚染防止義務を怠ったとしてスイスの地方裁判所に起訴された。
このコンテンツが公開されたのは、
>>ロンザの水銀による土壌汚染問題
フィスプの地方裁判所に出された起訴状によると、同社の化学工場は2011~12年、14~17年にかけ、化学物質1,4-ジオキサン外部リンクを排出し、飲料水を汚染したとされる。ヴァレー州検察庁は、ロンザは周辺の水源を汚染したにも関わらず、対策を講じなかったとしている。
1,4-ジオキサン溶媒は塗料、ニス、洗剤、化粧品、殺虫剤および除草剤などの製造に使われる。主に高レベルのものは人間にがんを引き起こす疑いがある。
14年の地下水調査で汚染が発覚。州検察庁はロンザが同地域で唯一、この化学物質を含む溶剤を大量に使用する企業だとしている。
ロンザ側は、連邦水質保護法には違反しておらず、住民と周辺環境に害は及ぼしていないと反論。14年に汚染が発覚した時点では、飲料水、地下水、産業排水の化学レベルについて特定の制限はなかったと主張している。
州検察庁は、ヴァレー州の対応の遅さも批判。一方、地元の関係機関はスイス通信の取材に対し、飲料水は影響を受けておらず、ジオキサンで汚染された私有の井戸は2カ所あったが、いずれも一時的に閉鎖されたと述べた。
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
おすすめの記事
スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。
もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
続きを読む
おすすめの記事
きれいなスイスの地下水 だが楽観視は禁物
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの水道水やその大部分をまかなう地下水は、良質できれいな状態が保たれている。しかし連邦環境省環境局は今後の汚染を懸念している。
もっと読む きれいなスイスの地下水 だが楽観視は禁物
おすすめの記事
化学大手ロンザ、水銀汚染の土壌浄化作業開始
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部のヴァレー(ヴァリス)州の一部地域で1930年から76年の間に化学企業ロンザが排出した水銀により土壌が汚染された問題で、汚染土の除去作業が22日始まった。
もっと読む 化学大手ロンザ、水銀汚染の土壌浄化作業開始
おすすめの記事
「水俣条約」 事務局はスイスに
このコンテンツが公開されたのは、
水銀の中でも水俣病の原因となったメチル水銀は強い毒性作用があり、食物連鎖を通じて人の体内に高濃度に蓄積されると、神経系の重い障害を引き起こし、特に胎児に大きな被害をもたらす。「水俣条約」は水銀の使用や輸出入を規制し、適…
もっと読む 「水俣条約」 事務局はスイスに
おすすめの記事
最も地球にやさしい会社はネスレ
このコンテンツが公開されたのは、
気候に有害な温室効果ガスの排出量縮小対策について、スイスの企業を対象に調査した結果が11月9日に発表された。 CO2排出量削減に向けた具体的な目標 ネスレ ( Nestlé ) の後には、スイス最大手銀行「UBS」、ベ…
もっと読む 最も地球にやさしい会社はネスレ
おすすめの記事
産業廃棄物による深刻な汚染、対処方法を探るスイス
このコンテンツが公開されたのは、
アールガウ州のケーリケン(Kölliken)へ向かう高速道路沿いにはきらきら光るソーラーパネルがずらりと並び、環境意識がいかに変わったかを暦然と示している。だが、ケーリケンの町の大通り沿いに流れるきらきら輝く小川が行き…
もっと読む 産業廃棄物による深刻な汚染、対処方法を探るスイス
おすすめの記事
バーゼル薬品倉庫火災から25年、残る環境汚染問題
このコンテンツが公開されたのは、
バーゼル・ラント準州環境局は、監視は欠かせないが特に措置を講じる必要はないという見解だ。しかし、これに異議を唱える専門家もいる。 1986年11月1日未明、バーゼル市近郊のシュヴァイツァーハレ産業地区(Schweize…
もっと読む バーゼル薬品倉庫火災から25年、残る環境汚染問題
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。