宮内庁で1日開かれた皇室会議で天皇陛下の退位日を2019年4月30日とし、翌5月1日に皇太子さまが即位されることが固まったというニュースは、スイスの一部のメディアでも報じられた。
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マルチメディア・ジャーナリスト。2017年にswissinfo.ch入社。以前は日本の地方紙に10年間勤務し、記者として警察、後に政治を担当。趣味はテニスとバレーボール。
政府は5日の閣議に報告、退位日を決める政令を8日に閣議決定する方針。
スイス通信は1日午前、天皇陛下の退位日を伝えるニュースの中で「日本国民に強く尊敬される明仁天皇は、『神』として即位しなかった初めての天皇だ。戦後の日本国憲法により、明仁天皇の地位は国の団結の象徴に限られている」と紹介。また、明仁天皇は平和憲法を堅持し、天皇は国政に関与する権限を持たないながらも、過去の戦争を正当化しようとする人たちを間接的に批判したと言及。保守右派の安倍首相の政権も含まれているとした。また「美智子皇后と共に休むことなく人のために働き、自然災害の被害者に勇気を与え、介護施設や障害者施設を訪問した。また健康問題を抱えながら、海外の公務では自身の国の威厳ある象徴として振舞った」とした。
ドイツ語圏の日刊紙NZZ電子版は東京の特派員が「過去200年間で自ら辞任する初めての天皇」と報じた。退位日が再来年4月30日になったことについて「改元による混乱防止と予算削減のため、政府は2018~19年の年の変わり目を希望していたが、新年は宮中行事が重なるため宮内庁の意向に沿わなかった。大半の会社の決算日にあたる3月末という案もあったが、地方選があるため政府が難色を示した。このため、裕仁天皇の誕生日で祝日の翌日にあたる4月30日に決まった」とした。
スイスインフォでは昨年末、天皇陛下が過去にスイスを訪問された際の写真をギャラリーで紹介した。1953年、ユングフラウヨッホで犬ぞりを楽しまれる貴重な姿も収められている。
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写真でたどる「天皇陛下とスイスの絆」
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天皇陛下は明日23日、83歳の誕生日を迎えられる。スイスのメディアでも生前退位をめぐる議論が大きく取り上げられる昨今、スイスインフォはギャラリー「天皇陛下とスイスの絆」を制作するためアーカイブで写真を探した。すると、皇太子殿下としてスイスを訪問し、ユングフラウヨッホで犬ぞりに興じる若き19歳の陛下のモノクロ写真が見つかった。
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天皇陛下「生前退位」ご意向 スイス各紙で大きく報道
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宮内庁は8日、天皇陛下が自らの「お気持ち」を述べたビデオメッセージを公表。スイスメディアもこれを大きく取り上げた。スイス・ドイツ語圏の有力紙NZZは、天皇陛下の「生前退位」の意向は「公知の秘密」であったと報道。高齢に加え、自らが昭和天皇の最期を経験したことが今回の意向表明につながったと指摘した。
天皇陛下が「お気持ち」を述べたビデオメッセージ公表を受け、独語圏の日刊紙NZZ、ターゲス・アンツァイガー、仏語圏の日刊紙ヴァントキャトラー、ル・マタンをはじめとする多くのスイスメディアは、天皇陛下の言葉を引用しながら大きく伝えた。
各紙は、 天皇陛下がビデオメッセージで「体力の面などから様々な制約を覚えることもある」と述べられたこと、「これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じている」と懸念を表明したことを伝えた。また、天皇陛下が意向を示した「生前退位」は現法で認められておらず、天皇陛下による国政への関与と理解されるのを避けるため、退位の意向の直接的な表現はなかったと報道した。
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