中国でも高級時計を身に着けることは大事なステータスだ
© KEYSTONE / GAETAN BALLY
2014年に発効したスイス・中国の自由貿易協定(FTA)は高級時計の模倣品対策にあまり効果を発揮していないようだ。中国政府が禁止措置を講じても、裁判所が処罰を下していないためだ。
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦知的財産局外部リンクのフェリックス・アドール局長代理はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)に対し、中国の地方部の裁判官は地元企業の不評を買う判決を出したがらないと語った。
アドール氏は「中国の大企業が関わっている事件の場合、(処罰は)抑止効果が強すぎる」とみる。「政治的な理由で、裁判所は知的財産よりも仕事を守ることを重視している」
また「政府機関が巨大すぎて、多くの企業は問題があったときにどの役所に持ち込めば良いのかすら分からない」とアドール氏は語った。
ただ大都市では事態に改善の兆しがある。大都市では中国の大手メーカーも、模倣品被害を受けているためだ。スイス・中国FTAも、両政府間で模倣品対策を協議するのには役立っている。
スイスの時計メーカーは年間約3千万本を製造するが、それ以上の数の模倣品が世界中で違法に生産されている。
スイスの時計輸出の大半は香港向けで、その多くは中国本土に再輸出されるとみられる。中国が12年に講じた模倣品対策により、スイスの対中国輸出は一時急減したが、徐々に回復している。
昨年1~11月のスイスの時計輸出額は前年同期に比べ10%多い195億フラン(約2兆1500万円)だった。うち対中国は37%増、対香港は27%増を記録した。
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
続きを読む
おすすめの記事
スイスメイドの時計とは?
このコンテンツが公開されたのは、
つまり、将来スイスメイドのラベルが貼られるには、部品も組み立てもほとんどの部分がスイスで作られたものに限られるようになる。 6月28日の「スイス時計協会 ( FH ) 」の総会で、スイスメイドに関する基準がもっと上がる…
もっと読む スイスメイドの時計とは?
おすすめの記事
人口当たりの特許出願件数、スイスが世界1位―大企業が貢献
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは特許出願の世界王者だ。2016年にヨーロッパ特許庁が受理した特許出願件数は、スイスが人口比で最多だった。スイス人はそんなに発明家が多いのか。
砂利の分別機、湿度を活用した気象計、特別な電動タイプライター。これらは100年以上も前にスイスで特許出願された製品の一例だ。しかも、審査にあたったのは、かの有名なドイツ人物理学者アルベルト・アインシュタインだったかもしれない。アインシュタインは1902年から09年まで、スイスの首都ベルンにある特許庁で働いていた。アインシュタインは当時の職場を「まるでこの世の修道院。おかげで最高のアイデアがここから生まれた」と皮肉っている。
当時は、ドイツの製品をスイスの製薬産業が模倣したとして始まった両国間の経済紛争が終結したころ。スイス特許・商標弁理士会のルイ・ラグナ―会長は「1888年の特許法施行まで、スイスは模倣大国として知られていた。この国の経済成長は模倣産業が支えていた」と指摘する。
もっと読む 人口当たりの特許出願件数、スイスが世界1位―大企業が貢献
おすすめの記事
外交干渉、相次ぐ買収 中国との付き合い方を模索するスイス
このコンテンツが公開されたのは、
中国の台頭で世界各国に変化が起きている。それは小さな友好国スイスも例外ではない。中国から干渉されていると感じるスイスの政治家は多く、スイス企業は次々と中国資本に買収されている。スイス国内では連邦政府が妥協ばかりしているとの批判が高まっている。
もっと読む 外交干渉、相次ぐ買収 中国との付き合い方を模索するスイス
おすすめの記事
スイスの2大時計見本市、開催時期の集中に悩むメーカー
このコンテンツが公開されたのは、
バーゼルワールドとジュネーブサロン(SIHH)。スイスの2大時計見本市が2020~24年、開催時期を連続させることで合意した。その裏にはスイス時計業界の複雑な事情がある。
もっと読む スイスの2大時計見本市、開催時期の集中に悩むメーカー
おすすめの記事
中国の「独身の日」セール、スイスにも拡大
このコンテンツが公開されたのは、
シングルベル、シングルベル――。中国で11月11日の「独身の日」に展開されるネット通販の大セールが、スイスにも広がりを見せようとしている。ただ、専門家たちは懐疑的だ。
もっと読む 中国の「独身の日」セール、スイスにも拡大
おすすめの記事
ローザンヌで人体標本展を中止 拷問死した中国人を使用か
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌで19日から21日まで開催が予定されていた人体標本展「リアル・ヒューマン・ボディーズ」で、州裁判所は19日、展示遺体の出所に関する情報が不足していることを理由に主催者側の訴えを退け、開催を中止する決定を下した。
もっと読む ローザンヌで人体標本展を中止 拷問死した中国人を使用か
おすすめの記事
スマートウォッチ、スイス時計産業界の脅威?
このコンテンツが公開されたのは、
大手IT企業はスマートフォンの大成功に力を得て、次々とスマートウォッチに取り組んでいる。9月には、サムスン(ギャラクシー・ギア/Galaxy Gear)とソニー(スマートウォッチ2/Smartwatch 2)がそれぞれ…
もっと読む スマートウォッチ、スイス時計産業界の脅威?
おすすめの記事
スイス時計の偽物対策 政府が本腰へ
このコンテンツが公開されたのは、
時計業界は、こうした偽物は年々増える一方で、被害総額も年間8億フラン(約714億円)に上ると訴える。偽物の流通が加速する背景には、インターネットの進展で、ネット競売にもスイス製と見た目が変わらない偽物の時計が多く出回るよ…
もっと読む スイス時計の偽物対策 政府が本腰へ
おすすめの記事
一般市民の違法コピー商品と戦闘開始
このコンテンツが公開されたのは、
7月1日から、偽造品や違法コピー商品の密輸出入およびスイス国内の通過は、このほど強化された連邦特許保護法の対象となる。 一般観光客も対象に 「7月1日から違法コピー商品が出回ることは無くなるはずです」連邦知的所有権機関…
もっと読む 一般市民の違法コピー商品と戦闘開始
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。