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クレディ・スイスめぐる内偵スキャンダル

クレディ・スイスのティージャン・ティアム最高経営責任者(左)とウルス・ローナー会長に説明責任を求める圧力が高まっている
クレディ・スイスのティージャン・ティアム最高経営責任者(左)とウルス・ローナー会長に説明責任を求める圧力が高まっている Keystone / Walter Bieri

銀行大手クレディ・スイスが、私立探偵を雇い、ライバル行UBSに移る社員を尾行させた疑惑が浮上した。取締役会はこの問題に関し調査を始めた。

尾行をされたと訴えているのは、クレディ・スイスのウェルスマネジメント事業を担当していたイクバル・カーン氏(43)。同氏は7月、突然の退職を発表した。また同氏の訴えで、チューリヒ州の検察が社の行為に違法性がないか捜査に乗り出した。

訴えによると、9月17日、3人の男が市内でカーン氏と妻を尾行。スイス国立銀行の裏にあるレストラン前で、激しい口論があった。この事件はドイツ、スイスの新聞が報じている。

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FT

カーン氏は、妻と2人で6歳の子供をサッカーの練習に送り届けた後、1台の車が自分たちの後を付いてきて、写真を撮っていることに気付いた。カーン氏は尾行を振り切ろうとしてさながらカーチェイスのようになり、最終的には市内の中心地で丁々発止のやり取りになったと、関係者は話す。

カーン氏は追いかけてきた男らを振り払うことができず、「警察、警察だ」と叫びながら車を降り、追っ手の車のナンバープレートの写真を撮ろうとした。そこで口論になったという。

別の情報筋によると、カーン氏を尾行した私立探偵はチューリヒ州オテルフィンゲンにある「調査・セキュリティ」関連企業Investigoで働いている。

「不正確さ」

同社のウェブサイト(キャッシュされたもの)の電子メールアドレス、電話番号に問い合わせたが、応答はなかった。ウェブサイトは23日時点で「工事中」となっていた。

ある関係者によると、カーン氏がクレディ・スイスの同僚や顧客に不当な交渉を持ち掛け、UBSに鞍替えさせたとみて、監視されていた。

チューリヒ検察庁の関係者は「威圧・脅迫事件として調べている」と明かしたが「現在捜査中のためこれ以上の情報は開示できない」とした。チューリヒ警察はこの事件で3人を逮捕した。

クレディ・スイスのスタッフに送付された内部メモのコピーをフィナンシャル・タイムズが入手。このメモによると、クレディ・スイスは新聞報道に「重大な不正確さ」があったとコメントした。ただ、この問題のどこが不正確なのかは触れていない。

ティージャン・ティアムCEOとウルス・ローナー会長が署名した同メモには「これらの出来事に関し、取締役会は詳細な調査を開始した。いずれ真実が明らかになる」と書かれている。

上級管理職に

調査は外部のコンサルタントと弁護士が担当し、誰が私立探偵を雇う決定を下したのか、そこに違法性はないかを調べるという。

カーン氏の代理人はコメントしなかった。クレディ・スイスもこの件に関し、コメントしなかった。

フィナンシャル・タイムズは以前、カーン氏が7月にクレディ・スイスからの辞職を決めたことで、ティアム氏と緊張関係が生じたと報じた。カーン氏はスイスのプライベートバンクであるジュリアス・ベアのCEOに就任するとみられていたが、2人の情報筋によると、土壇場でUBSに転職した。

8月、カーン氏はUBSのコアウェルスマネジメント部門の新共同責任者に指名された。任期8年目のセルジオ・エルモッティCEOが率いる主要幹部の一員となる。

カーン氏は10月1日に就任予定。現在はクレディ・スイスの社員のままだ。

事件の詳細は20日、国内金融業界のゴシップブログ「Inside ParadePlatz外部リンク」が暴露した。

©The Financial Times Limited 2019

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