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空の交通 ゆっくりと回復

上空の火山灰で地上はマヒ。チューリヒ空港は人気なし Reuters

スイスの上空ではまだ火山灰が確認されており、差し当たり4月20日午前8時まで領空は閉鎖される。ドイツとフランスでは規制が若干緩和された。

アイスランドでは、15日からエイヤフィヤトラ ( Eyjafjalla ) 氷河火山が大気圏に向けて大量に煙煤を吐き出し、噴煙をたなびかせている。
 

「スイス」は19日午後8時まで運休

 チューリヒ、バーゼル、ジュネーブの各空港で足止めされている乗客の状況は改善され、チューリヒ空港では閉鎖初日の16日夜約300人が空港で寝泊りせざるを得なくなったが、翌日は60人ほどに減少した。一方で飛行機から鉄道に乗り換える人が増えたことから電車は大混雑。そのため「スイス国鉄 ( SBB/CFF ) 」は主な国際路線の本数を倍増させた。スイス国鉄が設けたホットラインに問い合わせた人は、この週末だけでも1万1000人に上った。

 外国の航空会社から飛行禁止に対する批判が相次ぐ中、スイスの航空会社「スイスインターナショナルエアラインズ ( Swiss International Airlines/略称スイス ) 」は安全第一を理由に、19日午後8時まで全面運休すると自主決定した。国際線の着陸は今後の状況によって許可される可能性もある。

 連邦運輸省民間航空局 ( BAZL/OFAC ) のペーター・ミュラー局長はしかし、このような状況が長引けば航空業界のみでなく国民経済全体に甚だしい影響が出ると警告する。ジュネーブの国際航空運送協会 ( IATA ) によると、飛行禁止によって航空会社業界だけでも毎日最低2億ドル ( 約184億円 ) の損失が出るという。専門家は、現在わずかながら景気が上向いているが、この火山灰によってこれにブレーキがかかる恐れがあるとみている。

テスト飛行では異常なし

 ドイツでは、ベルリン・シェーネフェルト ( Berlin-Schönefeld ) 、ベルリン・テーゲル ( Berlin-Tegel ) 、エルフルト ( Erfurt ) 、ライプチヒ ( Leipzig ) 、ハンブルク、ハノーバーの6つの飛行場で一部飛行禁止が解除され、東への運行が許可された。フランスではボルドーとマルセイユの空港の閉鎖が解かれた。トゥールーズ ( Toulouse ) 、モンペリエ ( Montpellier ) 、ビアリッツ ( Biarritz ) の各空港は引き続き営業している。

 18日日曜日には飛行禁止が一部解除されたこともあり、1万メートル以下の高度でテスト飛行が行われた。飛行を行った複数の航空会社の発表によると、エンジンにも機体のフロントガラスにも何ら問題は確認されなかった。

 だが、ヨーロッパ領空の閉鎖は特に慎重過ぎる対策というわけではない。火山灰が原因で飛行機が墜落しそうになったことは過去に何度かある。例えば1982年にはイギリスの「ブリティッシュエアウェイズ ( British Airways ) 」のボーイング747がロンドンからニュージーランドへ飛ぶ途中、インドネシアの火山が噴出していた火山灰の中を飛行し、危うく墜落しそうになった。1989年にも同じ理由でオランダの航空機KLMがアラスカ上空で墜落しそうになっている。このときはパイロットがエンジンを再起動し、不時着に成功した。

swissinfo.ch、外電

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