中国・華為技術外部リンク(ファーウェイ)がスイスに研究拠点の新設を検討していることが明らかになった。
このコンテンツが公開されたのは、
ファーウェイ・スイスのフェリックス・クラマー副社長が23日、ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)外部リンクに語った。チューリヒとローザンヌに研究拠点を作り、約1千人の雇用を生むという。ただ具体的な開設時期は未定だ。
クラマー氏は、スイスがけん引する技術で、なおかつ中期的にファーウェイに関連するものに焦点を当てると話した。「特に物理学、IT、ナノテク、材料科学、その他の科学分野の専門的知識にフォーカスすることを考えている」。学際的な協力を念頭に置いているとも語った。
スイスは永世中立国で政治的にも安定しているうえ、世界的にも水準の高い連邦工科大学があるため、研究拠点として有利だとクラマー氏は話す。ファーウェイは「スイスの強みを生かして」他の欧州諸国にも投資を広げていくという。例えばパリに工業デザイン研究所、ロンドンに国際金融の専門センターを作る案を検討している。
米トランプ政権は15日、ファーウェイを安全保障上懸念がある企業の一覧に追加。同社に対する米国製品・技術の輸出には米商務省の許可が必要になった。事実上の輸出禁止措置で、ファーウェイに対する国際的な経済圧力は一気に高まった。
グーグルなど複数の米企業がファーウェイとの関連を断ち切った。スマートフォン製造で世界2位の同社は次世代通信規格「5G」の開発でも様々な国と提携しているが、中国政府によるスパイ行動への懸念も高まっていた。米政府がスイス政府に対し、ファーウェイを締め出すよう圧力をかけていたとの報道もある。
だがスイス通信によると、スイスコム、サンライズ、ソルトの3大通信企業はファーウェイとの関係を断ち切る方針はない。3社はファーフェイ製スマホを今後もカタログに掲載するが、状況を注視する。サンライズの5Gネットワークはファーウェイの技術を使っている。
スイスが仲裁役に?
一方、スイスの経済紙ハンデルス・ツァイトゥングは、スイスが米中貿易戦争の仲裁役としての役割を担うようスイス通信業界が画策していると報じた外部リンク。
構想として挙がっているのが、通信インフラのサイバーセキュリティのための国際センターをスイスに設立する案だ。ここで通信機器の安全性をテストし、紛争の仲裁役を務める。スイス通信事業協会のペーター・グリュッター会長は同紙に「今の状況では魅力的なアイデアだ」と語った。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
続きを読む
おすすめの記事
米国、スイス国内における中国の5G技術「スパイ活動に悪用される」
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ドイツ語圏の日曜紙ゾンタ―クス・ツァイトゥングは、スイス国内における中国の通信技術利用に米国が懸念を表明したと報じた。華為技術(ファーウェイ)がスイスの通信大手と5G構築を進めているが、米国側は「中国政府のスパイ活動に利用される恐れがある」と述べたという。
もっと読む 米国、スイス国内における中国の5G技術「スパイ活動に悪用される」
おすすめの記事
スイス連邦工科大学ローザンヌ校が50年 世界に誇る発明品は?
このコンテンツが公開されたのは、
連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)は今年で創立50周年を迎えた。民間の科学研究所から国の大学に姿を変え、今では世界の大学トップ25の常連に成長。そのEPFLが生み出した世界に誇る科学的・商業的発見を紹介する。
もっと読む スイス連邦工科大学ローザンヌ校が50年 世界に誇る発明品は?
おすすめの記事
世界の国際特許出願件数、スイスは8位 日本は3位
このコンテンツが公開されたのは、
世界知的所有権機関(WIPO)は21日、昨年の国際特許出願件数の統計を公表した。国別ではスイスが8位、日本は前年よりランクを一つ落として3位だった。デザインなどを対象にした意匠登録では、スイスは2位だった。
もっと読む 世界の国際特許出願件数、スイスは8位 日本は3位
おすすめの記事
「ウェブの父」の誘いを蹴ったスイス人研究者
このコンテンツが公開されたのは、
スイス出身でデジタル革命の先駆者とされるペーター・グロア氏は、現在、創造的コラボレーティブネットワークの構築に取り組んでいる注目すべき研究者だ。「ウェブの父」として知られるティム・バーナーズ・リー氏と同じチームで働いた経験もある同氏は、常にウェブの発展と共に歩んできた。
もっと読む 「ウェブの父」の誘いを蹴ったスイス人研究者
おすすめの記事
5Gアンテナにおびえるスイス人
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで次世代通信規格「5G(第5世代)」の通信アンテナがあちこちに立ち始めている。だがこれに不満を唱える国民は少なくない。
もっと読む 5Gアンテナにおびえるスイス人
おすすめの記事
中国の模倣品に苦戦するスイス時計
このコンテンツが公開されたのは、
2014年に発効したスイス・中国の自由貿易協定(FTA)は高級時計の模倣品対策にあまり効果を発揮していないようだ。中国政府が禁止措置を講じても、裁判所が処罰を下していないためだ。
もっと読む 中国の模倣品に苦戦するスイス時計
おすすめの記事
アイガー氷河の内部透視で浸食理論に新説 日本人らベルン大研究チーム
このコンテンツが公開されたのは、
日本人を含むベルン大学の国際研究チームが行った氷河内部観測プロジェクトの研究成果が6日、英ネイチャー誌の「SCIENTIFIC REPORTS 」に掲載された。宇宙線を利用してアイガー氷河の内部をレントゲンのように映し出すことで、氷河の浸食がこれまで考えられていたよりも標高の高い場所で起こりうることを実証した。
もっと読む アイガー氷河の内部透視で浸食理論に新説 日本人らベルン大研究チーム
おすすめの記事
スイスの研究・教育用の小型原子炉が解体へ
このコンテンツが公開されたのは、
バーゼル大学にある研究・教育用の小型原子炉が2020年に解体されることになった。小型原子炉は同大学で1959年から稼働していた。
もっと読む スイスの研究・教育用の小型原子炉が解体へ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。