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米国、脱税ほう助でスイス金融機関を起訴

Swiss francs on a table
© Keystone / Ti-press / Alessandro Crinari

スイス金融企業1社と6人の金融関係者が6億ドル(約670億円)にのぼる顧客の脱税をほう助したとして、米国から起訴されていたことが分かった。

米司法省が28日公表した起訴状外部リンクによると、3人の米国顧客が2009~14年に延べ数千万ドルを米税務当局の目から隠した。「シンガポール手法」として知られる手の込んだスキームを使った。スイスからお金を抜き出し、香港やシンガポールをいったん経由してからまたスイスの銀行に戻す方法だ。

資金はスイスのプライベートバンクIHAGから無申告で引き出され、アジアを巡り巡った後に同じ銀行へ戻ってきた。だが米司法省はIHAGには不正があったとみていない。

代わりに罰金を科されたのが金融サービス従事者6人と、チューリヒにあるアライド・ファイナンス・トラストだ。スイス商業登記簿によると、同社は今年3月に破産している。

この事案は、米司法省が今もスイスの金融機関に照準を合わせていることを浮き彫りにした。スイスの多数の銀行は2013~16年の間、米国に処罰されないよう業務の浄化に努めてきた。

スイスは今年3月に反マネーロンダリング(資金洗浄)法の改正案を可決した。だが金融活動タスクフォース(FATF)やNGOトランスペアランシー・インターナショナルは、脱税ほう助に関わる弁護士や金融関係者の取り締まりが盛り込まれなかったことを批判されている

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