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スウォッチが時計見本市を中止 新型コロナウイルス感染拡大で  

Two masked people behind Chinese flag
スイスではまだ新型コロナウイルスの感染者は出ていないが、経済には影響が波及してきている Keystone / Alex Plavevski

新型コロナウイルスの感染拡大がスイスの実体経済にも影響を及ぼし始めた。スウォッチが今月末予定していた時計の見本市の中止を決めるなど、イベントの中止や生産活動の縮小が相次ぐ。

新型コロナウイルスは武漢市を中心に感染者約2万8千人、560人を超える死者を出している。スイス・インターナショナル・エアラインズと親会社のルフトハンザは北京および上海発着のフライトを2月末まで休止。他の便にも影響が出ている。

中国本土に進出しているスイス企業は、従業員を自宅待機させ生産を縮小・休止せざるを得ない状況だ。重電大手ABBは国内の全工場を閉鎖。昨年の売上高の15%に当たる40億ドル(約4400億円)に相当する。

ドイツ語圏の日刊紙NZZによると、化学・製薬業界も打撃を受けている。化学メーカーのジークフリート(本社・ツォフィンゲン)は1月25日から休業していると報じた。

医薬品のノヴァルティスは7千人、ロシェは1万人の中国内従業員に対し、研究所ではなく自宅で働くように指示した。両社とも、現在の緊急事態に備えた計画に従って操業しているという。

スイスの電機、精密機械、機械産業の業界団体はswissinfo.chの取材に対し、一部の企業は生産中止しているが、その経済的影響を試算するには時期尚早だと答えた。

観光と時計産業

2019年1~9月期は、スイスから中国への輸出総額は150億フラン(約1兆7千億円)、輸入額は110億フランだった。感染拡大が長引くほど、今年の貿易額への影響は大きくなる。

スイス観光業界は中国人観光客が3~5割減るとみている。18年の実績に照らすと、ひと月に7万~10万人泊が減る計算だ。

昨年香港の大規模デモで輸出が落ち込んだスイス時計業界にも影響がありそうだ。スイス最大手のスウォッチは、今月末にチューリヒで開催予定だった時計の見本市「Time to Move」を中止した。3月19~21日に予定されていたアートイベント「アート・バーゼル」の香港版も中止となった。

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