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絶好調のスイス時計産業 中国がけん引

ジュネーブの時計見本市
世界で政治的・経済的に不確実性が高まっているが、スイスの時計メーカーは「慎重に楽観視」している Keystone

スイスの2018年の時計輸出額は前年比6.3%増え、210億フラン(約2兆3100億円)を突破した。主に対アジア輸出が伸び、この勢いは今年も続くとの見方が多い。

スイス時計協会外部リンクが29日発表した年次報告によると、香港への輸出は19.1%多い30億フラン、中国への輸出は11.7%多い17億フランだった。東アジアがけん引し、輸出総額は過去2番目に多い記録的な年となった。

スイスに来た観光客を含め、世界各国で売られる「スイス製」時計の大半は中国人による購入だと指摘する関係者もいる。

時計協会のジャン・ダニエル・パッシュ会長はこの傾向が続くとみる。「成長が鈍り米中貿易戦争をめぐるリスクが高まっているが、中国の中流層は成長を続けている。スイス時計への需要はなお旺盛だ」と述べた。

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2019年について、パッシュ氏は「慎重に楽観視」している。時計輸出は成長を続けるものの、伸び率はいくつかの政治要因に左右されるとみる。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や各国ではびこる自国第一主義、保護主義などだ。

スイスの2018年貿易統計

スイス連邦税関事務局が29日発表した2018年の貿易統計によると、輸出入ともに大きく伸びた。

輸出額は前年比5.7%増と2010年以来の伸び幅となり、過去最高額を更新した。輸入額も8.6%伸び初めて2000億フランを突破。貿易収支は313億フランの黒字(輸出超過)となった。

ブラジルはその代表例だ。ボルソナロ大統領は「二国間で自由貿易協定を結ぶことが不可欠になっている。(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの加盟する)メルコスールで協定に向けた協議が妥結することを願う」と語っている。

パッシュ氏は昨年末に結ばれたスイス・インドネシアのFTAを歓迎。米国とも同様の協定締結に向けた交渉が再開されたことも評価した。

雇用創出

好調な時計輸出は、同業界の雇用の増大にもつながっている。時計産業雇用主連盟外部リンク(Convention Patronale)はスイスインフォに、過去1年に約700社で3000人ほどが新規雇用されたと明かした。

広報のルドヴィック・ヴォアラ氏は「雇用が増えるとは思っていたが、この伸びは想定以上だ」と話す。「調査に臨時雇用を含んでいないことを踏まえると、さらに驚くべき結果だ」

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前年比4%増という数字は、2015~18年の間に失われた雇用を埋め合わせする。現在の被雇用者は5万7800人と、業界が繁栄の目安としている14年時点の6万人に近づいている。

企業が雇用を増やしているのは「世界経済の不確実性が増しているにも関わらず、時計メーカーが今後の業績に自信を持っていることを示す」とヴォアラ氏は話す。

時計製造では自動化の波が一巡し、有資格者による高度な技術を要しているという。「時計メーカーはこれまで以上に手仕事を重視している。従業員が必要なスキルを現場で磨けるよう、無期雇用を増やしている」(ヴォアラ氏)

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