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スイス郵便CEO、ポストバス問題で責任を否定

ウーリ州のアルトドルフ・インゼンタールを走るポストバス
ポストバスの交通網はスイス全土の津々浦々に張り巡らされ、地方住民の重要な交通手段となっている Keystone

スイス郵便のスザンヌ・ルオフ最高経営責任者(CEO)が独語紙のインタビューで、子会社のポストバスが粉飾決算により補助金を不正に受け取っていた問題の責任を否定し、辞任はしないと発言した。ポストバスは連邦・州から約8千万フラン(約92億円)の補助金を不正に受領していた。    

 ポストバスはスイスの村落部や山間部でバスを運行。連邦運輸省交通局の調査で、ポストバス社が2007~15年、収入を不正に低く計上し、補助金8千万フランを過剰に受給していたことが発覚した。ルオフ氏は同局の調査報告書について徹底的に調査すると約束。この問題を受け、ポストバス社の社長と最高財務責任者(CFO)がすでに解雇され、同社は不正に受給した補助金を返納する方針。

 ルオフ氏は12年にCEOに就任。ポストバス社の不正受給は昨年11月に初めて気づいたと述べた。交通局長が同氏に対し、会計に虚偽があると伝えたという。

 ルオフ氏は大衆紙ブリックの日曜版ゾンタークスブリック(11日付)に「私は嘘をついていないし、誤ったこともしていない」と主張。不正を確認した外部の専門家らと作業部会を立ち上げ「事実を完全に明らかにすべく直ちに対応した」とも述べた。

 同氏は、13年以来、この不正会計を認識していたのではないかという疑惑については否定した。一方、ポストバス社の事業収益はより厳密な調査が行われ、迅速に対応されるべきだったという点は認めた。同氏は、内外の監査人から不正が指摘されたケースはなかったとした。

 粉飾決算の動機については明らかになっていない。この問題を巡っては複数の政治家が批判し、徹底的な捜査を要求した。交通局は14日、今回の問題について連邦検察庁などに告発した。

ATS-SDA/sb

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