リブラはビザやマスターカードといった重要企業の参画無しに生き残ることができるのか?
Copyright 2016 The Associated Press. All Rights Reserved. This Material May Not Be Published, Broadcast, Rewritten Or Redistribu
米フェイスブックの仮想通貨プロジェクト「リブラ」は提携企業のうち7社が脱退を表明し、大きな打撃を受けた。プロジェクトの音頭をとるリブラ協会(本社・ジュネーブ)は憲章の策定や経営陣の刷新で、規制当局からの圧力に抗おうとしている。
このコンテンツが公開されたのは、
2019/10/16 08:40
リブラは買い物の支払いや消費者どうしの送金方法に革命を起こそうとしている。従来の通貨に換金できる仮想通貨を創り、効率的に世界のあちこちへ送ることのできる仕組みだ。
リブラは従来の金融インフラを介するのではなく、決済やオンラインショッピング、技術、NGOの分野で活躍する企業・団体と協力関係を結んでいる。
だが米国を中心とする規制当局は、リブラは広範囲に流通する可能性が高いことから、各国の金融政策がうまく機能しなくなることを懸念している。リブラを管轄するスイスはリブラ運営に当たっての規制要件を概説 したが、米上院議員は提携企業数社に対し撤退するよう圧力をかけた。
リブラとの提携を解消すると表明したのはペイパルとビザ、マスターカード、イーベイ、ストライプ、メルカド・パゴ、ブッキング・コムの7社。新進気鋭の決済システムにとって、これら主要企業の脱退は大きな損失となり、リブラが予定通り来年発行できるのかどうか、疑問が生じている。
強い逆風
それでもリブラ協会外部リンク は14日、残り21社の提携企業とプロジェクトを続行すると発表した。今後も関係を築きたいと考える企業だ。
「協会はより良い決済ネットワークを構築し、重要な金融サービスを利用しやすくし、それらを最も必要とする世界数十億人にかかる手数料を下げたいと考えている」と述べた外部リンク 。「協会として、参画企業は引き続き世界の規制当局との重要な任務に当たる」
リブラ協会のバートランド・ペレス専務取締役は先月、スイスインフォの取材にリブラは金融システムに脅威を与えていないと語った。協会は仮想通貨ビジネスにオープンな政策をとるスイス に設立された。
14日にはリブラ協会憲章の署名のほか、評議会の設立や理事会・執行チームの役員が選出・任命され、リブラがプロジェクトを断念していないことを物語る。だが発進前のリブラには強い逆風が吹いているとみられている。
おすすめの記事
おすすめの記事
フェイスブックの仮想通貨「リブラ」が政府・中央銀行にかける圧力
このコンテンツが公開されたのは、
2019/10/03
米フェイスブックが独自の仮想通貨「リブラ」を発行する計画を発表した6月、政府に公式の電子通貨発行を押し付ける意図はなかったと言っていい。
もっと読む フェイスブックの仮想通貨「リブラ」が政府・中央銀行にかける圧力
このストーリーで紹介した記事
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/23
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/22
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/22
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/22
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/22
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/17
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
おすすめの記事
ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/16
スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。
もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
おすすめの記事
ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/14
2025年大阪・関西万博のスイス館が、13日の開幕日に開館した。没入感のある展示空間でスイスの多様・卓越性を紹介し、150万人以上の来館者を見込む。
もっと読む ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
おすすめの記事
スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/10
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。
もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
おすすめの記事
【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
このコンテンツが公開されたのは、
2025/04/08
米国の関税措置をめぐり、スイスのギー・パルムラン経済相は7日、米通商代表のジェミソン・グリア氏とビデオ会議による最初の協議を行った。
もっと読む 【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
続きを読む
次
前
おすすめの記事
多国籍企業にとってジュネーブの魅力は薄れつつあるのか?
このコンテンツが公開されたのは、
2019/10/14
ジュネーブに拠点を置く米国や日本の多国籍企業が最近、相次いで人員削減計画を発表した。これはジュネーブの現在の景況や労働市場の流れを反映した動きなのだろうか?
もっと読む 多国籍企業にとってジュネーブの魅力は薄れつつあるのか?
おすすめの記事
スイス中銀、フェイスブック仮想通貨「リブラ」に懸念
このコンテンツが公開されたのは、
2019/09/06
法定通貨に紐づいた仮想通貨は価格が安定するか?スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の答えは「否」だ。米フェイスブックがジュネーブを拠点に展開する仮想通貨計画「リブラ」が、中銀と真っ向から対立する可能性が出てきた。
もっと読む スイス中銀、フェイスブック仮想通貨「リブラ」に懸念
おすすめの記事
世界初の仮想通貨銀行 透けて見えるスイスの意地
このコンテンツが公開されたのは、
2019/08/28
スイス金融当局から銀行業の許可を得て、世界初の仮想通貨銀行への一歩を踏み出したSygnum。仮想通貨と従来型金融の世界をつなぐ架け橋になる、と創業者たちは業界の盛り上がりに期待を寄せる。暗号資産分野で世界の主導権を握りたいスイスにとっても大きな節目となりそうだ。
もっと読む 世界初の仮想通貨銀行 透けて見えるスイスの意地
おすすめの記事
フェイスブックの仮想通貨「リブラ」 真の狙いは?
このコンテンツが公開されたのは、
2019/06/20
SNS大手の米フェイスブックが仮想通貨「リブラ」の発行計画を発表した。ターゲットは誰なのか、落とし穴はないのか?スイス・ジュネーブを拠点に新通貨を発行・管理する非営利団体「リブラ協会」に話を聞いた。
もっと読む フェイスブックの仮想通貨「リブラ」 真の狙いは?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。