2017年度に28億フラン(約3200億円)の黒字を叩き出したスイスの連邦政府決算。先進国まれにみる財政の「優等生」の財布の中身をのぞいてみよう。
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17年度(17年1~12月)は事前予想では2億5千万フランの赤字が見込まれていたが、14日に発表された決算は2010年度(36億フラン)以来の大きな黒字だった。主な要因は税収の上振れだ。好調な株価を背景に、配当・利子への源泉税が前年より43.5%多い24億9400万フランの税収をもたらした。
連邦予算の最大の歳出は社会保障費。17年度は230億フランと、前年に比べ1.6%増えた。増加の原因は年金の給付金と医療費だ。
最も伸びが大きいのは教育・研究費で、前年比5.7%増(76億フラン)。欧州全域を対象にした研究・革新技術の開発促進プログラム「Horizon2020外部リンク」に同年から正式参加し、出資額が増えた。
歳出が減ったのは交通予算で、0.6%少ない91億フランだった。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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