英NGO「タックス・ジャスティス・ネットワーク(TJN)」が18日発表した「金融秘密度指数(FSI)」で、スイスは初めて銀行秘密ナンバーワンの座を降りた。だが脱タックスヘイブン(租税回避地)と喜ぶにはまだ早い。
このコンテンツが公開されたのは、
FSIは約2年ごとに発表され、各国の法律・金融システムがどれくらい富裕層の資産隠しや犯罪のマネーロンダリング(資金洗浄)をしやすくなっているか指標化している。20項目の指標をそれぞれ100点満点で評価した秘密度スコアから算出する。
2020年のFSI外部リンクでスイスの銀行秘密は世界3位と評価された。2011年のFSI算出開始以来、スイスが首位でなくなるのは初めてだ。税の自動的情報交換制度を100カ国以上と結び、「不透明度」が1位から3位に下がったことが寄与した。租税回避地に利用されるリスクが前回2018年版に比べ12%下がった。
ただ情報交換制度の対象でない国々にいる富裕層は、銀行やその他の金融機関のオフショアサービスを利用することで、母国の税務当局から資産をリスク無しでスイスに秘匿することができる。多くは発展途上国だ。
例えば元アンゴラ大統領の娘イザベル・ドス・サントスは、数億ドルのアンゴラ公金を複数のオフショア口座に隠しており、スイスの口座も含まれるとされる。
2020年FSIの首位は英領ケイマン諸島で、米国が続いた。米国は税の情報交換制度に必要な共通報告基準に署名していないことから、スコアが悪化した。日本は7位だった。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスの「資金洗浄大国」汚名返上への道のり
このコンテンツが公開されたのは、
スイスはこの数年、マネーロンダリング(資金洗浄)との闘いに努力してきた。法制度も整ってきたが、一刻も早く補修すべき欠陥も残る。
もっと読む スイスの「資金洗浄大国」汚名返上への道のり
おすすめの記事
世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ベルナーオーバーラント地方のシュテッヘルベルクとミューレンの間に、世界一急勾配のケーブルカーが開業した。
もっと読む 世界で最も急勾配のロープウェイがスイスで開業
おすすめの記事
2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は11日、カリン・ケラー・ズッター副大統領兼財務相(急進民主党、60歳)を新大統領に選出した。新副大統領にはギー・パルムラン経済・教育・研究相(国民党、65歳)が選ばれた。
もっと読む 2025年のスイス連邦大統領はカリン・ケラー・ズッター氏
おすすめの記事
医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
このコンテンツが公開されたのは、
大手金融機関UBSが12日発表した調査「心配事バロメーター」によると、依然として医療費と健康保険料の高騰が最大の懸念事項だったことが分かった。環境と年金も懸念事項にあがっている。
もっと読む 医療費の高騰、依然としてスイス国民の最大の関心事 調査
おすすめの記事
スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)が、留学生の授業料をスイス人学生の3倍に引き上げ、2025年秋学期から1学期当たり2190フランにすることを決めた。
もっと読む スイス連邦工科大、留学生の授業料3倍引き上げ決定 25年秋学期から
おすすめの記事
世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの電力会社アクスポは5日、世界で最も古いベツナウ原子力発電所の稼働を2033年に終了すると発表した。33年までの運転継続にかかる追加事業費は3億5000万フラン(約600億円)を予定している。
もっと読む 世界最古の原子力発電所、2033年に稼働終了
おすすめの記事
スイスのドライバー、2割が飲酒運転
このコンテンツが公開されたのは、
欧州など39カ国のドライバーを対象にした調査で、スイスでは2割超が飲酒運転をしたことがあると回答した。
もっと読む スイスのドライバー、2割が飲酒運転
おすすめの記事
狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日午後、スイス西部ヴォー州で64歳の男性が狩猟中に死亡した。イノシシを撃とうとした 猟友会のメンバーに射たれた。
もっと読む 狩猟中の事故で男性死亡 スイス西部
おすすめの記事
自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
このコンテンツが公開されたのは、
今年9月にスイスで初めて使われた自殺カプセル「サルコ」について、連邦内閣は、当分の間、立法措置は必要ないとの見解を示した。サルコ運営団体は2日、身柄を拘束されていたフロリアン・ヴィレ代表が釈放されたと発表した。
もっと読む 自殺カプセル「サルコ」運営団体代表が釈放 70日拘束
おすすめの記事
スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの金融誌ビランツがまとめた長者番付2024年版によると、スイス在住の富豪トップに輝いたのは、仏高級ブランド・シャネルのオーナー家族の1人、ジェラール・ヴェルテメール氏だった。上位の顔ぶれはほぼ前年と同じだが、香料メーカーのフィルメニッヒ(Firmenich)創業家が初のトップ10入りを果たした。
もっと読む スイス在住長者番付2024 トップはシャネルのオーナー
おすすめの記事
スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ポイ捨て防止コンピテンスセンター(IGSU)の年次アンケート調査によると、「スイスでは多くのゴミが適切に処理されていない」と考える人は16%にとどまった。
もっと読む スイス、ポイ捨て「少ない」8割 アンケート調査
続きを読む
おすすめの記事
スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行は顧客の情報を国家権力にも明かさないことで知られ、世界中から資産を集めて金融国家にのし上がった。そのスイスが今、日本の経済界を揺るがした大スキャンダルの捜査協力に乗り出している。秘密主義の看板は10年前に下ろされたが、スイスの秘匿体質は本当に変わったのか?
もっと読む スイス銀行の秘密主義はゴーン口座を守るのか
おすすめの記事
世界で強まる脱税取り締まり スイスの立ち位置は
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは長年の伝統だった銀行秘密を放棄し、税の自動的情報交換制度(AIE)に加わった。昨年から国内銀行にある外国人顧客の口座情報を36カ国と交換し、加盟国は今後約100カ国まで増える見通しだ。脱税を取り締まるためのこの枠組みに死角はないのか?
もっと読む 世界で強まる脱税取り締まり スイスの立ち位置は
おすすめの記事
スイスの暗号化企業、CIAのスパイ活動に関与
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの通信暗号化企業クリプト(本社・ツーク)が半世紀近くスパイ活動を行っていたとの疑惑で、スイス政府が調査に着手したことが明らかになった。
もっと読む スイスの暗号化企業、CIAのスパイ活動に関与
おすすめの記事
クレディ・スイス、「スイス回帰」で名声回復か
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)の取締役会は、多くの株主の期待に反してティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)の退任を決めた。後任はスイス国籍を持ち、現在CSの国内事業を率いるトマス・ゴットシュタイン氏だ。
もっと読む クレディ・スイス、「スイス回帰」で名声回復か
おすすめの記事
スイスの小規模プライベートバンクに消滅の危機
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの誇るプライベートバンクを取り巻く環境は厳しくなる一方で、3行に1行は収益を上げるのに苦労している。小規模な銀行は「絶滅の瀬戸際に向かっている」との予測もある。
もっと読む スイスの小規模プライベートバンクに消滅の危機
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。