口座開設の簡単さはスイスのリテール銀行部門のセールスポイントの一つで、見込み客にとっては好ましいことだ。
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まず新規顧客の身元の確認が行われる。スイスの銀行は国が発行した身分証明書の提出を求め、身元を確認する義務を負う。スイス在住の外国籍の人も、スイスの滞在許可証および該当する場合は雇用証明書を提出する必要がある。
従来は銀行の支店でこれらの書類を直接見せなければならなかったが、2016年にルールが変わり、ビデオによる顔認証で本人確認が可能になった。今日では多くの銀行でオンライン・アプリでの口座開設が可能だ。この場合、契約書にもデジタル証明書を利用してデジタル署名をすることができる。
銀行部門では競争が激しいため、口座開設の際には複数の銀行を比較してみる価値がある。初めの一歩としては銀行と保険の比較サービスmoneyland.ch外部リンクが役立つだろう。
BタイプまたはCタイプの滞在許可証を持たない外国籍の顧客の受け入れに関しては、銀行によって制限がある。一部の銀行ではF(暫定的な滞在許可)、N(難民申請者)、S(保護が必要)タイプの滞在許可証の所持者は断られるだろう。
しかし、スイス郵便の金融機関ポストファイナンス(PostFinance外部リンク)は、滞在期間にかかわらず全ての居住者に銀行サービスを提供するという、公共サービスの役割が義務付けられている。
ポストファイナンスは、国の発行した公的な身分証明書を提出できない顧客へのサービス提供も個別で検討する。難民・難民申請者はバーゼル州立銀行、クレディ・スイス、バンク・クレア(元バンク・コープ)でも口座が開設できる。
英語のカスタマーサービスを重視する場合、スイスの大銀行クレディ・スイス外部リンクとUBS外部リンクの2行が最も充実している。そうでなければ、多くの州立銀行が優れたサービスを提供しており、評判の良いライファイゼン銀行、ミグロ銀行、バンク・クレアは全国に展開している。
スイス非居住者で口座開設を希望する場合は、認証謄本が身元証明に必要。また最低預金額が適用される。
米司法省が複数のスイスの銀行に対し、米顧客の脱税ほう助をしたとして罰金を課したことを受け、スイス在住の米国人が口座を開設することは特に厄介になった。ただ現在スイスの銀行のいくつかは、追加の書類手続きを経れば可能だ。
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そもそも、スイスの誇る銀行の守秘義務にひびが入ったのは、米国からの圧力を受けてのことだった。2009年以降、スイスの銀行は米国人顧客の脱税をほう助したとして巨額の罰金の支払いを命じられてきた。
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