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「開発援助は常に外交政策の一部」

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2021年7月、ガーナの首都アクラにあるチャンス・フォー・チルドレン財団が運営するセンターの1つで、スイスの代表団を歓迎する子供たち Keystone / Anthony Anex

なぜスイス連邦外務省は、人道支援と開発協力の2部門を一本化するのか。外局として自律して両部門を率いてきた連邦外務省開発協力局(DEZA/DDC)は、外務省の操り人形となるのか。同局のトーマス・ガス副局長に話を聞いた。

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スイスが対外援助部門を統合 どんな影響がある?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦外務省は、年内に人道支援と開発協力の2部門を一本化する。それにあたって火種となりそうなのが、前者がめったに正当化を必要としないのに対し後者はその逆、という点だ。

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swissinfo.ch:連邦外務省開発協力局(DEZA/DDC)の組織改編について簡単に教えてください。

トーマス・ガス: DEZAを新たな課題に合った組織に変え、活動をより効果的に行えるようにすることが肝心です。そのためには内部のプロセスも見直し、改善していく必要があります。

国会で承認された新戦略「国際協力2021~2024」を、最も良いかたちで実施できるような体制を整えたいと思っています。

swissinfo.ch:具体的にはどのようなことでしょうか。

ガス:将来的には既存の部門を解体し、地域別に担当を分けた3課など計7つの課に分け直します。開発協力と人道支援の2つの分野を調整していくことになります。

Thomas Gass
トーマス・ガス氏は、スイス連邦外務省開発協力局の副局長。南方協力の責任者でもある EDA

swissinfo.ch:なぜこのような改編をしたのですか。スイスは国際的な流れに合わせているのでしょうか。

ガス:改編の一部については、スイスが国際的な動きに合わせているのは事実です。2019年2月、経済協力開発機構(OECD)は人道支援、平和構築、開発協力の連携に関する決議を採択しました。スイスをはじめとする国々は、これらの分野をさらにうまく組み合わせようとしています。

一体化は現場レベルでは既に行われていますが、本部では十分に行われていません。人道援助と開発協力は、これまではそれぞれの国にデスクを置き、独自に活動に関わっていました。今回の統合で、多くの相乗効果が期待できます。

スイスの開発協力の強みは、現場での存在感です。現地には有能なスタッフやチームがいて、大使館や外務省、政府の他の部門ともうまく連携しています。今回の組織改編は、これをさらに促進するものです。

swissinfo.ch:事態が困難になると撤退していく他国とは異なり、スイスは現地に留まる。これもスイスの強みの1つです。

ガス:その通りです。人道支援と開発協力を一体化させることもその助けになります。

swissinfo.ch:DEZA内部で、改編に伴う人事異動により幹部ポジションが実質的になくなるのではないかと不安が広がっています。貴重な人材が流出したりノウハウを失ったりすることはないのでしょうか。

ガス:確かに、一定の人事異動はあります。しかし外務省では、それは昔からあったことです。職員は4年に1度くらいの割合で配置を変えるローテーション制をとっていました。ですから、組織改編によってノウハウが失われることはないと思います。

この改編の目的は、さまざまな活動の相互作用を高め、国際レベルでの政治的活動に現場での経験をもっとうまく組み込んでいくことにあります。また、将来的には無駄のない効率的なプロセスを確保し、適材適所に人材を確保していきたいと考えています。

これらの目標を達成すれば、これまでの経験をさらに生かせるようになります。

swissinfo.ch:人道支援と開発協力の一体化は、2つの異なる文化を結びつけるものです。果たしてどちらが優位に立つのでしょう。

ガス:どちらかが優位に立つかという問題ではありませんし、そのような兆候も見られません。今後も、両分野のツールやノウハウをうまく活用し、さらに上手に組み合わせていくことが肝心です。

swissinfo.ch:エンジニア出身として、国際協力は良い方向に向かっていると思いますか。

ガス:一般的に、ですか。それともDEZAについてでしょうか。

swissinfo.ch:両方について教えてください!

ガス:開発協力の分野には、非常に重要な変化があります。ポジティブな面もあれば、課題もあります。私たちが関わっている多くの国では危機が続いていますし、独裁国家に進む傾向も見られます。また、気候変動を抑えるためには、国際社会としての私たちは十分な効果を与えることはできません。

プラス面としては、多国間主義を志向する意識が根強い点が挙げられるでしょう。多くの国は、自分たちが相互に依存していることを認識しています。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はこれを再確認させてくれました。例えば、開発目標を掲げた「2030アジェンダ」や、気候変動に関する「パリ協定」などがその一例です。私たちが同じ船に乗っていて、お互いに助け合う必要があると分かっているからこそ、このような動きが生まれたのです。

swissinfo.ch:DEZAにはますます外務省の意向が反映されていくようです。DEZA職員の異動先も、今後は外務省の人事部が決めます。開発協力は外交政策の手段になりつつあるのでしょうか。

ガス:DEZAは連邦外務省の中でも重要な外局で、開発協力は常に外交政策の一部です。しかし、DEZA自身が人事異動をできなくなったかというと、そうではない。

いくつかのポストについての最終的な決定は、DEZAからの提案に基づき、局長または連邦内閣が行います。提案が覆ったことはほとんどありません。

(独語からの翻訳・大野瑠衣子)

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