現金主義のスイス人消費者も、次第に電子マネーでの支払いに慣れてきている。だが少額決済では特に現金派が圧倒的だ。
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スイス人の支払い動向の変化を毎年調べている「スイス決済モニター外部リンク」最新版によると、非接触型デビットカードの利用者は54%と、前年の34%を大きく上回った。調査対象は千人。
非接触型デビットカードはスイスで2015年に導入され、現在発行済みデビットカードの71%を占める。非接触型のクレジットカードは2007年に登場し、現在はクレジットカードの95%がチップ内蔵だ。
非接触型デビットカードでの支払いは5月に初めて10億フラン(約1080億円)の大台を超えた。だが小売店やレストランなどでのデビットカード払い総額の3分の1に過ぎない。
20フラン未満の支払いでは依然として現金払いが主流だ。10年後には全て電子決済になるとの予想もあるスウェーデンとは対照的に、スイスは現金派が圧倒的に多い。
調査に加わったチューリヒ応用科学大学決済リサーチセンター外部リンクのサンドロ・グラフ氏は「現金払いが社会的に良しとされている。少額の商品を買うときは現金払いが期待されていると考える人が多い」と解説する。
グラフ氏は、スイス人の電子支払いに対する許容度は欧州の平均的な位置にあるとみる。
懸念はセキュリティー
セキュリティーの問題もある。一部の人々は、電子決済システムが詐欺やデータの不正使用に巻き込まれることを恐れている。その恐怖感で、モバイル端末の決済アプリを使うことに及び腰になっている。
グラフ氏は「人々は新しい手法を疑ってかかるものだ」と話す。「だが一般的に、一度使った経験があれば積極的になる」
実際、調査の回答者の多くは「将来的には新しいタイプのモバイル決済の使用を検討する可能性が高い」と答えている。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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