瞑想(メディテーション)することで、自分にとって不快な情報をより客観的に処理できるようになることがスイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)の主導した国際研究で分かった。ネガティブな情報も含め多くの情報にも偏りなく触れることで、より良い意思決定を下しやすくなる。
このコンテンツが公開されたのは、
ETHZの30日の発表外部リンクによると、わずか1日15分のマインドフルネス瞑想(目を閉じてじっと座り、呼吸や身体的感覚、思考、感情を観察するが反応しない)でも、より良い意思決定が促進される。調査研究に参加した瞑想者は、自分に不安・不快感を与えそうな負の情報を無視する「認知バイアス」に陥りにくくなった。
研究では261人の参加者をランダムに2つのグループに分けた。一方のグループは2週間、毎日15分のマインドフルネス瞑想を実践し、もう一方のグループはリラックスできる音楽を聴くだけだった。実験の前後に健康状態や経済状況、人間関係に関する質問に答え、否定的な情報や特定の感情にどのように反応するかを調べた。
研究を率いたエリオット・アッシュ教授によると「2週間毎日瞑想した被験者は、自分の中にある負の感情をシンプルに観察し、冷静に受け入れる能力が向上した」という。
実験の結果、マインドフルネス瞑想により不快な感情から脱する能力が高まり、ネガティブな情報をより客観的に処理できるようにすることが分かった。このため瞑想をしている人は、不安・不快感をもたらしそうな事実を含め、より多くの情報を得ることができる。
同研究は科学誌「エコノミック・レターズ外部リンク」に掲載された。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
おすすめの記事
ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
このコンテンツが公開されたのは、
米ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、スイスでの人員削減を計画している。
もっと読む ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
おすすめの記事
「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
このコンテンツが公開されたのは、
スイス最大手のUBS銀行の資料室には、第二次世界大戦中の行動に関する秘密がまだ残されている可能性がある――。過去にスイスの銀行と独ナチス政権とのつながりを調査した歴史家、マルク・ペレノード氏は、再調査の必要性を強調する。
もっと読む 「スイス銀行のナチス関連口座は再調査を」 歴史家ら提唱
おすすめの記事
スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
このコンテンツが公開されたのは、
スイスインターナショナルエアラインズ(SWISS)のブカレスト発チューリヒ便が先月オーストリアのグラーツで緊急着陸した後、客室乗務員(23)が死亡した事件で、死因は酸欠だったことが分かった。複数のスイスメディアが報じた。
もっと読む スイス航空の緊急着陸 客室乗務員の死因は酸欠
おすすめの記事
ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
このコンテンツが公開されたのは、
ユングフラウ鉄道グループは、ユングフラウヨッホの2024年の来場者が105万8600人となり、2015年以来6度目の100万人の大台を超えたと発表した。
もっと読む ユングフラウヨッホ、2024年の来場者が100万人を突破
おすすめの記事
2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2024年の企業倒産件数が過去最高を記録した。
もっと読む 2024年のスイスの企業倒産件数、過去最高に
おすすめの記事
国民投票に向けた署名がまたも偽造
このコンテンツが公開されたのは、
医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。
もっと読む 国民投票に向けた署名がまたも偽造
おすすめの記事
スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
このコンテンツが公開されたのは、
1964年東京オリンピックで銀メダルを勝ち取ったスイス人柔道家のエリック・ヘンニ(Eric Hänni)さんが25日、86歳で死亡した。スイス柔道・柔術協会が発表した。
もっと読む スイスの柔道家エリック・ヘンニ、86歳で死去 東京五輪柔道銀メダリスト
続きを読む
おすすめの記事
LSDの「姉妹品」ケタミン 精神医学における可能性とリスクとは
このコンテンツが公開されたのは、
幻覚剤LSDの発見から80年を記念し、スイスで精神科医らを迎えたシンポジウムが開かれた。セラピーにおける医薬品「ケタミン」の可能性とリスクとは?精神科医に聞いた。
もっと読む LSDの「姉妹品」ケタミン 精神医学における可能性とリスクとは
おすすめの記事
スイスに根付く生け花
このコンテンツが公開されたのは、
日本の生け花がここスイスにも根付いている。日本では生け花人口が年々減っているが、スイスも例外ではない。
もっと読む スイスに根付く生け花
おすすめの記事
スイスで「燃え尽き症候群」は病気?
このコンテンツが公開されたのは、
燃え尽き症候群(バーンアウト)に関しては、世界保健機関(WHO)が新分類を導入したにもかかわらず、雇用者にも医療関係者にもいまだによく理解されていない。失敗を恐れる文化のあるスイスは、燃え尽き症候群とその治療という問題にようやく正面から向き合いつつある。
もっと読む スイスで「燃え尽き症候群」は病気?
おすすめの記事
自由になれる瞑想という「とき」
このコンテンツが公開されたのは、
「僕の写真を通して、瞑想の生活に対する深い敬意の意を伝えられたらうれしい。それは、僕自身にとっては、神の存在の有無を通りこし、ただ1人で神と対峙(たいじ)するという、一つの人間の在り方が存在するということだった」と、写真…
もっと読む 自由になれる瞑想という「とき」
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。