スイスのサンタクロースいわゆる聖ニコラウスは、12月6日の聖ニコラウスの日に来るとされるが、この日は悪い子を懲らしめるため、従者が鞭(むち)を持ってやって来る怖い日と言い伝えられる。
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横浜市出身。1999年からスイス在住。ジュネーブの大学院で国際関係論の修士号を取得。2001年から2016年まで、国連欧州本部にある朝日新聞ジュネーブ支局で、国際機関やスイスのニュースを担当。2016年からswissinfo.chの日本語編集部編集長。
スイスでは12月6日聖ニコラウスの日、司教冠(ミトラ)をかぶった子供の守護聖人である聖ニコラウスが、暗い服を纏った従者を連れ、森からロバに乗って来るという伝承がある。そして、悪い子にお仕置きするため、従者は枝木の鞭を手に持ち、背中には悪い子を詰めて森へ連れて帰るための袋を背負っている。
この日聖ニコラウスは、今年1年間の出来事を振り返り、良い子にしていた子供たちにはご褒美としてお菓子をくれるが、悪い子にはお仕置きをするとされる。つまり、言うことを聞かない子にとっては鞭で懲らしめられる怖い日なのだ。
聖ニコラウスは、3~4世紀のミラ(現在のトルコ南部)の司教で、子どもの守護聖人とされている。かつてはキリスト教の重要な巡礼地の一つだったフリブールでは、聖ニコラウスは肉屋に殺された子供3人を生き返らせたという伝説が伝わる。
従者は聖人のお供で、ドイツ語でシュムッツリ(Schmutzli)、フランス語でペール・フエタール(Père fouettard)と呼ばれる。
聖ニコラウスの祝い
多文化のスイスでは地方によって言い習わしは多少異なり、現代では聖ニコラウスの日の祝い方は様々。より多くの人が参加できるようにと、聖ニコラウス祭は週末に祝われることが多い。また、米国のクレメント・クラーク・ムーアによって描かれたサンタクロース、つまり日本でよくイメージされるプレゼントの詰まった白い袋を背負った赤い服のサンタの伝説が影響していることも多くなった。それで、現代のお祝いでは、聖ニコラウスが赤い服を着ていることもある。従者は一般に、茶色のガウンを着て顔に炭を塗って黒くし、鞭と麻の袋を持っている。そして、その身なりは、スイスの子供たちを今でも震え上がらせる恐ろしい存在となっている。
スイス西部のフリブールの町では、伝統的に聖ニコラウス祭を大々的に祝い、12月の第1土曜日、今年は12月3日の夜に、聖ニコラウスに変装をした学生が、従者と共にサン・ミシェル学院から大聖堂まで練り歩き、今年一年の世界のニュースや町の出来事について演説をする。そして、良い子にはビスコーム(Biscôme)というシナモンや蜂蜜の入った特産ビスケットが配られる。当日には、子供たちのパレードも行われ、3万人が参加する愉快なお祭りだ。
首都ベルンでは、11月の第4土曜日に旧市街で聖ニコラウスのパレードがあり、従者を連れた聖ニコラウスが、子供たちにジンジャービスケット、みかん、ピーナツ、チョコレートを配るのが伝統となっている。
クリスマスプレゼントは?
スイスでは、子供たちが夢見るプレゼントは、クリスマスイブの24日の夜、「子供のキリスト」がやって来て、子供たちの気付かない間にツリーのそばにこっそり置かれ、いつの間にかツリーに綺麗なデコレーションが施されていると語られている。「子供のキリスト」の年齢は0~12歳で、ドイツ語ではクリストキントリ(Christkindli)、フランス語ではディヴィン・アンファン(Devine enfant)、イタリア語ではジェズ・バンビーノ(Jesu Bambino)と呼ばれている。
しかし、フランス語圏のジュネーブ州とヴォー州は他のスイスの地域と異なり、赤い帽子をかぶったペール・シャランドゥ(Père Chalande)が煙突から入って子供たちにプレゼントを届けるというフランスのサヴォワ地方の慣習が一般的となっている。
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手紙はカラフルに彩られ、まだ文字を書き慣れていない子どもからの手紙も多い。スイスの郵便局では1950年からサンタクロース宛ての手紙の受け取りを行っている。受け取った手紙には(差出人の住所が判読出来る限り)返事を出し続けてきた。そうして毎年、スイス国内だけでなく他の国や、時には海を越え、何千もの「サンタさん」宛ての手紙やイラストが郵便局に届くのだ。
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