スイスのメディアが報じた日本のニュース
今週(8月4日〜10日)スイスの主要報道機関が伝えた日本関連のニュースから3件をピックアップ。要約して紹介します。
「原爆ミーム画像が炎上、米映画」「核抑止論は『愚行』、広島市長」「猛暑の相馬野馬追、馬100頭超が日射病に」「彫刻家・名和晃平」「原発処理水の海洋放出、今月下旬にも開始」「サッカー女子、なでしこノルウェー戦」―といったトピックスが取り上げられました。
この中から今回は「原爆ミーム画像が炎上、米映画」「核抑止論は『愚行』、広島市長」「猛暑の相馬野馬追、馬100頭超が日射病に」をご紹介します。
原爆ミーム画像が炎上、「怒った日本のXユーザーたち」
米実写版映画「バービー」のX(旧Twitter)公式アカウントが原爆投下を想起させるミーム画像に好意的な反応を示し、日本で大きな批判を浴びた問題は今週、スイスの主要メディアで報じられました。
批判を浴びたのは「バービー」と同時公開された、原爆開発者の半生を描いた映画「オッペンハイマー」の描写を合成した画像です。仏語圏のスイス公共放送(RTS)はインスタグラムに「#️Barbenheimerのミーム画像、日本で大騒動に」との見出しで、問題となった画像を3枚投稿。「原爆のことを茶化すな」と日本で大きな批判が起こった経緯を伝えました。
インスタグラムユーザーの反応はさまざまで、投稿のコメント欄には「百万人もの罪なき人たちに爆弾を落とすことを正当化する人がいまだにいるなんて」「日本は原爆を落とされた理由を考えたほうがいい」など賛否分かれる意見が寄せられました。
独語圏の日刊紙ターゲスアンツァイガーは、「立腹した」日本のXユーザーたちが対抗手段として、2001年の米同時多発テロやバービーがオサマ・ビンラディンの肩に乗ったミーム画像をSNSに投稿したと紹介。「日本のXユーザーは、バービーとオッペンハイマーを混ぜ合わせた画像がなぜ面白くないのか例を挙げて説明しようとしたが、米国人も含め、 Xユーザーはこれを面白がる人の方が多く、むしろ裏目に出てしまった」と締めくくりました。(出典:ターゲスアンツァイガー外部リンク/独語、NZZ外部リンク/独語、RTS外部リンク/仏語、swissinfo.ch/英語)
「核抑止論は『愚行』、広島市長」
広島と長崎で開かれた平和記念式典は、スイスの複数メディアでも6~9日に報じられました。
日本では松井一実・広島市長が平和宣言で核抑止論は「破綻している」と訴えたことが注目されましたが、ロイター通信はこの「破綻」を「Folly(愚行、ばかげたことと言う意味)」という単語で報道。swissinfo.chの英語版がこれを転載する形で報じました。
独語圏のオンラインニュースサイトwatsonは松井市長が「世界中の政策立案者たちに核抑止論の放棄を呼びかけた」としたほか、長崎市の鈴木史朗市長が平和宣言で核抑止への依存からの脱却を「勇気を持って決断すべき」と述べたことにも触れました(スイス通信社、SDAから転載)。 (出典:swissinfo.ch/英語、 watson外部リンク/独語)
猛暑の相馬野馬追、馬100頭超が日射病に
農業新聞シュヴァイツァー・バウアーは8日、先月29〜31日に開かれた国指定の重要無形民俗文化財「相馬野馬追」(福島県)で、馬100頭以上が日射病にかかり、2頭が死亡したことを伝えました。同紙は「日本の歴史ある祭りで、うだるような暑さ」の中の出来事だったと言及。熱中症、あるいはそれに似た症状が出て、騎馬武者や観客83人が会場で治療を受けたことにも触れました。
仏語圏の日刊紙ル・マタンは、期間中の最高気温がここ5年で初めて最高35℃に達したとし、来年の開催日を涼しい時期にずらすことが検討課題に上がっていると伝えました。
いずれも、AFP通信およびスイス通信社(SDA)の記事を転載する形で報じられました。(出典:シュヴァイツァー・バウアー外部リンク/独語、ル・マタン外部リンク/仏語)
注目のスイスのニュース
今週、最も注目されたスイスのニュースは「スイス人の『親しい友人』は平均4人」(記事/日本語)です。ほかに「UBS、投資銀行部門の数百人を解雇 CS統合で」(記事/日本語)や、「スイスの医薬品不足、さらに深刻化」(記事/日本語)も話題になりました。
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次回の「日本のニュース in スイス」は8月18日(金)に掲載する予定です。
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編集:宇田薫
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