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6年ぶりフラン高 スイス企業はイノベーションで対抗

溶接作業員
Keystone / Alessandro Crinari

外国為替市場でスイスフラン相場が1ユーロ=1.04フランと、6年ぶりの高値圏で推移している。フラン高でスイス製品の価格が高騰し、輸出品の重荷となるはずだが、輸出企業からは現在、大きな悲鳴は聞かれない。

ベルン州ビール(ビエンヌ)にある医療器具メーカー、ミクロ精密システムズ(MPS)外部リンクは今、記録的な量の受注を抱えている。中小企業ながら今年、約50人を新規採用した。ニコラ・ティボドー社長はフランス語圏のスイス公共放送(RTS)で「一部の分野は、減速した。しかし、全体的には2021年は記録的な(売り上げの)年になるだろう」と語った。

MPSだけではない。RTSが取材した10社は、スケジュールも注文もいっぱいだ。これらの輸出企業にはフラン高という足かせがある。フランがユーロとほぼ等価(パリティー)水準で推移し、輸出価格の押し上げ要因になっている。

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フラン高にかかわらず商売が繁盛している理由は何か。ティボドー氏は「イノベーション、イノベーション、イノベーション」と強調する。「まず製品にイノベーションを加えて顧客への販売価格をおさえ、生産方法にもイノベーションを投入して生産コストを下げた」

競争で抜きん出る

ジュラ州ドゥレモンにある自動組立機メーカー「Humard(ウマール)」外部リンクはイノベーションの好例だ。MPSの生産に昼夜を問わず対応可能な供給体制にした。これによりMPSは、以前はスロバキアにあった生産の拠点をスイスに戻すことができ、スイス産業界にとって大きな革新となった。

ウマールはさらに一方先を目指す。「独自の製品を開発し、外国との競争から一歩抜きんでるように努めている。特殊操作ができる世界初の機器も開発した」(ジョルジュ・ウマール氏)

10年前に開発を始めた人工心臓「MPS」のように、イノベーションには忍耐も必要だ。ティボドー氏は「ビールで初めて製造された人工心臓は、今後数週間のうちに患者に移植される」と得意げに語る。

安定したスイス

スイス雇用者センターのクリストフ・レイモン所長は、スイス経済の構造が多様化し回復力が付いたと説明する。「多様化はリスクを分散する。また製薬・化学、金融部門など業績の良い業界が産業全体を活発にしている」

スイスの政治的・社会的安定も一役買っている。「経済界は安定が何よりも大切だ」とレイモン氏は指摘する。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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