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COP26前にスイスの「二枚舌」疑惑が浮上

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2019年に干ばつに襲われたソマリランドのように、気候変動対策を講じるために先進国からの財政支援が必要な途上国は少なくない Keystone / Mark Naftalin / United Nations D

国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、スイスは途上国での気候対策への出資を増やそうと各国に呼び掛ける方針だ。だが舞台裏では、その真逆に向かってロビイングをしているとの疑いが浮上した。

2009年にコペンハーゲンで開催されたCOP15で、先進国は2020年までに1千億ドルを途上国の気候変動対策に動員する目標を掲げた。だがこの目標は未だ達成されていない。

このため、31日にグラスゴーで開幕するCOP26で、スイスは気候変動への投資を増やそうと呼びかける方針だ。少なくとも正式な立場では。

だが非政府組織(NGO)グリーンピース英国支部の調査チーム「Unearthed外部リンク」が暴露した文書によると、スイスは富裕国から貧困国への出資責任を和らげようと画策している。英BBC外部リンクが21日報じた。

リーク文書は、次回の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)リポートの草稿に対してスイス政府、企業、利益団体が提出した意見書3万2千件以上をまとめたものだ。国連のIPCCリポートは科学者が執筆し、各国政府が気候変動目標や排出量削減策を決めるうえで道しるべとなる資料だ。

Unearthedが曝露した文書によると、リポートの内容に影響を及ぼそうとした国はスイスだけではなさそうだ。サウジアラビアや日本、オーストラリアは化石燃料から早急に脱却する必要性を弱めようとし、ブラジルなど畜産国家は肉の消費を抑えることで排出量を削減できるという記述に反論を試みている。

ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのシモン・ルイス外部リンク教授(気候変動科学)は「これらの意見書は、排出量削減に向けた行動を妨害したり遅らせたりしようという一部の国の戦略を映し出す」と指摘する。

支援の要らない国も

スイス連邦環境省(FOEN)はswissinfo.chの取材に対し、IPCCリポートを各国が検証し、内容について意見書を提出するのは普通のことだとメールで回答した。その過程には「透明性があり」、「全ての意見書は公開されている」という。

COP26のスイス代表を率いるフランツ・ペレス氏は「政策決定者に向けた(リポートの)草稿に対するスイスの意見書に、気候変動への資金拠出のあり方や追加出資の必要性に疑義を挟む目的はない。スイスは、野心的な気候目標を達成するために国際的な支援が必要だという立場を変えていない」と話す。

環境省は、気候保護に向けた努力を促すために資金調達は重要な手段だと強調する。「だがそれが唯一の手段というわけでもない。パリ協定の目標達成に向け一部の途上国が財政支援を必要としているが、必要としない国もある」

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担当: Luigi Jorio

気候危機に対して、スイスが果たすべき役割とは?

地球温暖化を抑制するために、スイスはどのような役割を果たすことができると思いますか?

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失望するNGO

グリーンピース・スイス支部の気候専門家、ゲオルグ・クリングラー氏は、BBCの報道はスイスが気候危機に必要な対処と逆の取り組みをしているような印象を与えたと話す。

「もしスイスが、公式には野心的な目標を掲げながら、水面下では気候保護に向けた努力を埋没させようとしていたなら、明らかなスキャンダルだ」

クリングラー氏は、スイスの気候変動対策に対する出資額(年間約6億4000万フラン)は明らかに不十分だと指摘する。「スイスの経済の強さを踏まえると、少なくとも10億フランは必要だ」

同氏は、途上国のために年間1千億ドルを可能な限り速やかに集めるようスイスが本当に各国に働きかけているのかどうかも疑わしいとみる。「この約束を反故にし、最終的には気候保護へのお金を増やすことに繋がらない策略を取ろうとしているのではないか、という疑いがある」


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