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Covid-19に役立つ馬診断

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呼吸器疾患は馬の間では一般的だ。空気中の微粒子エアロゾル(エーロゾル)やブラシなどを通して感染する Copyright 2020 The Associated Press. All Rights Reserved.

スイスのある新興企業は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行により馬の呼吸器疾患の診断プロジェクトを中断せざるをえなくなった。そこで考えついたのが、診断技術をCOVID-19の検査に応用することだ。

エンダー・ディアグノティクスはこの4月に設立されたばかりのスタートアップ企業だ。

今年初め、スイスの新興企業LiVET外部リンクは、馬に最も発症しやすい4つの呼吸器系疾患を診断するための等温検査の治験を大きく前進させようとしていた。だがそこに到来した新型コロナ危機により、遠征計画が延期になった。また馬の病気の診断にLiVETが使おうとしていた機械の一部がCOVID-19検査のために入手できなくなった。

LiVETのティム・フィスター最高経営責任者(CEO)は考えた。手を持て余している優秀な科学者が集まれば、この知識とリソースをヒトのCOVID-19検査に応用できるのではないか、と。

「「ロックダウンがどのくらい続くかわからなかったので、馬の呼吸器疾患の診断に関する知見をCOVID-19検査の開発に仕えるかどうか、検証を始めた」とフィスター氏は振り返る。

フィスターのチームは人数が倍に増え、それまでついていた投資家に個人融資も加わって、新会社が誕生した。社名はエンダー・ディアグノティクス。今月15日、設立から2カ月足らずで初のCOVID-19迅速検査キット「エンダーLAB」でCEマーク(安全性とパフォーマンスに関する欧州の認証制度)を取得外部リンクした。

CEマークの取得により、エンダーは検査キットを欧州やスイスの病院・研究室に販売できるようになった。

同社は7月にもさらに迅速な検査を発売する予定だ。同じ技術を携帯型のデバイスに組み入れ、空港など病院や研究所のように大きな機械がない場所でも検査できる「モバイルエンダー検査」も開発中。モバイル式なら8~16体のサンプルを同時に検査できる。

コロナ検査の開発に取り組む新興企業はエンダーだけではない。流行初期に検査キットが不足したとき、コロナ感染を診断する検査の開発に取り組む新興メーカーが次々と誕生した。エンダーなど一部の企業は、COVID-19によりそれまでのプロジェクトが暗礁に乗り上げたが、科学的な専門知識を使って俊敏にビジネスチャンスをつかんだ。

規制のハードル

COVID-19検査の規制要件が緩和されたことも、エンダーなど開発者を後押しした。欧州連合(EU)と米国当局は検査キットの不足をできるだけ早く解消するため、市場化プロセスを簡素にした。

欧州委員会は4月3日、5月26日に予定されていた新医療機器指令の発効を2021年に延期すると決めた外部リンク。新指令では医療機器の市場化に第3者機関の審査が必要となるが、延期により引き続き現行指令(98/79/EC)が適用され、メーカー自身が規格への準拠に責任を負う。

国の医療機器認可機関「スイスメディック(Swissmedic)」はswissinfo.chに対し、エンダー社から審査申請書を受け取ったことを認めた。だがCEマークは認可・認証を示すものではなく、検査キットの有効性に対する責任は全て同社が負うと警告している。

COVID-19検査には主に2種類ある。1つは現在の新型コロナウイルス感染状況を判定するもので、エンダー社が採用している。これはウイルスの遺伝物質を検出するために、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いた分子検査によって行われることもある。この方法はロシュ社などいくつかの企業が採用しており、世界保健機関(WHO)も推奨する。

エンダーはこれに等温技術などを加えている。少量の遺伝情報、具体的にはSARS-CoV-2ウイルスRNAを増幅するという点でPCR技術に似ている。だがPCR検査のように異なる温度で循環させるのではなく、すべてを同じ温度で行うため、時間がかからない。

エンダーLABの結果は、ウイルスRNAの抽出後30分以内に分かる。フィスター氏によると、これは市販のPCR検査よりもかなり速い。またエンダーLABは97.3%の確率で正しく陽性結果を得られ、陰性は100%判定できる。

もう1つの検査方法はタンパク質などのウイルスの成分を検出する抗原検査だ。現在のCOVID-19検査は、いずれも鼻や喉の分泌物(綿棒や洗浄液など)を採取して行う。

他に過去の感染やコロナウイルス抗体を検出するための血清学的血液検査がある。

EU外部リンクによると、4月上旬の時点で PCR検査78種、迅速な抗原検査13種がCEマークを得ている。EUデータベース外部リンクではPCR検査は現在100種を超える。米国食品医薬品局(FDA)は、診断検査と抗体検査合わせて100件を超える緊急使用許可を発行した。

だが認可の迅速化には副作用もある。FDAはこれまでに40種以上の抗体検査外部リンクの承認を取り消すことになった。欧州の業界団体は衛生用品や検査に関する偽造文書外部リンクを摘発した。

競馬場に戻る

エンダー社は馬に使う技術をどうやってヒトに転用したのか?フィスター氏は鼻腔綿棒がカギになったと話す。

「私たちはまず、鼻腔綿棒検査を研究した。これによりCOVID-19検査の開発が速くなり、優れた結果を得られた」(フィスター氏)。独AniCon外部リンクなどさまざまな家畜診断企業が、そのノウハウをヒトコロナウイルスに転用している。

ただエンダーがヒト向けに技術を応用しのたはあくまで一時しのぎで、フィスター氏は馬やその他の動物のための開発を諦めたわけではない。

「馬の診断はニッチ市場であり規制のハードルが低く、投資収益率が高い。獣医市場に参入したい新興企業にとっては完璧だ」

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