UBS スイスから業務の一部撤退を考慮
UBS銀行は2月8日に業績発表の記者会見を開いたが、ここでスイスから業務の一部を撤退させる方針を明らかにした。
スイスでは今年中にも規制が強化される予定で、これを回避するため、リスクの多い投資部門を規制の緩やかな国へ移行する計画だ。
イギリスかアメリカへ
UBSの最高経営責任者 ( CEO ) のオズワルト・グリューベル氏は、世界は将来的に、国際的な銀行規制システムに則った不均衡な競争の場になるとみている。
「各国がそれぞれ独自の規制を施行してさらなる金融クラッシュを防ごうとしているが、最も厳しい規制を敷こうとしているのがスイスだ」
連邦政府はスイスの2大銀行であるUBSとクレディ・スイス ( Credit Suisse ) に対し、リスク対策として世界の標準の3倍に相当する自己資本率を求めている。
この要求を回避するため、グリューベル氏は投資部門を別の国に移して、リスクの伴う業務をスイスの規制の手の届かない場所で展開することを提案。可能性のある国としてイギリスとアメリカを挙げた。しかし、連邦政府の案が連邦議会を通過するのは今年末の見込みで、世界的な銀行規制の枠が明らかになるのはまだ当分先のことだ。
黒字計上、配当なし
UBSの2010年の業績は71億6000万フラン ( 約6123億円 ) の黒字で、4年ぶりの利益計上となった。2009年は27億4000万フラン ( 約2343億円 ) の赤字だった。2010年第4四半期に13億フラン ( 約1111億円 ) の黒字を計上し、ニューマネーの流入も71億フラン ( 約6069億円 ) に上った。顧客は特にアジアなどの成長市場と富裕層だ。
取締役会は2010年のボーナスとして43億フラン ( 約3676億円 ) を承認。これは2009年の金額より1割少ない。株主に対しては今年も無配当だ。
「2010年は実質的な進歩を遂げたが、業績はさらに改善できると確信している。まだ数多くの難題を抱えており、高い目標の達成には至っていない」
とグリューベル氏はその理由をまとめた。
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