スイス最大の金融機関UBSは11日、ライバル行クレディ・スイスの救済買収に関し連邦政府、スイス国立銀行(中銀、SNB)と締結した損失保証合意を自主的に解消した。
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政府と納税者は損失保証リスクを負わなくなる。
UBSは、クレディ・スイスグループ買収に関連して発生しうる損失をカバーするための政府・中銀の保証90億フラン(約1兆2900億円)は必要なくなったとした。合意の効力は即時失効する。
ただ政府は、通常法下での公的流動性に関するバックストップ(安全策)を導入する法案はこれまで通り連邦議会に提出する意向だとし、「大きすぎて潰せない」規制枠組みについては包括的な見直しを行っていると述べた。
損失保証合意は6月9日、正式に締結された。
この措置は、3月に政府が仲介したUBSのクレディ・スイス買収を円滑に進めるため、連邦憲法の緊急事態条項に基づき決定された。最初の損失50億フランは UBSが負担し、そののちの損失90億フランを政府が公金で負担することになっていた。
UBSは声明で「3月19日の緊急事態条項に基づく臨時流動性支援は全て返済された」と発言。クレディ・スイスも融資500億フランを8月10日時点でSNBに全額返済したとした。
財務省は、政府はこの合意で損失は被っておらず、むしろ約2億フランの収入があったとした。
UBSは約定料、リスクプレミアム(標準よりも高いリスクに対して支払われる対価)として総額約7億3000万フランをスイス当局に支払った。内訳は政府に2億フラン、SNBに5億3000万フラン。
政府の反応
スイスのカリン・ケラー・ズッター財務相はUBSの決定を歓迎。政府は「この合意に関し、政府は1フランも使っていない」と強調し、UBSを「強いパートナーだ」と述べた。
11日午前、スイス証券取引所でUBSグループの株価は5%近く上昇した。
英語からの翻訳・宇田薫
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