UBS、大幅人員削減へ
スイスの銀行最大手UBSは世界で3500人、うちスイス国内で約400人の人員削減に踏み切る。
8月23日、経費削減計画の詳細発表で明らかにした。
人員削減対象の約45%は投資銀行部門。ウェルスマネジメント部門でも35%の削減が予定されている。自然減だけではなく、解雇もあるという。
この対策で、UBSは2013年末まで年間約20億フラン(約1932億円)の経費削減を目指す。リストラにかかる費用は約5億5000万フラン(約531億円)で、うち約4億5000万フラン(約435億円)が今年後期分として見込まれている。その大部分は第3四半期に計上する計画だ。
チューリヒで削減大
スイスでは約400人の解雇が予定されているが、経営者側は被雇用者側の代表と話し合いを開始した。解雇される被雇用者には社会保障支援が行われる見込み。
UBS広報担当のエヴェリン・ミュラー・アイヒェンベルガー氏はスイス通信 (SDA/ATS)に対し、「削減の対象分野は主にアシスタント業務や事務などで、顧客相談や投資相談に携わる人はほとんど対象外」と強調した。
一方で、職業訓練生の数は現在の水準に保ち、教育への投資を続ける意向だ。
削減の対象になっている部門は主にチューリヒにあり、ここでは多くの解雇者が出る見込み。スイス全体で2万3500人いる行員のうちおよそ1万5000人がチューリヒの本社に勤務している。
投資者にとってはこの経費削減はプラスとなりそうだ。計画発表後、株価は2.1%上昇し、市場全体の平均を上回った。
幹部の給与削減を
銀行従業員協会(SBPV)はこの発表を受け、公平な経費削減対策を求めて幹部の給与削減を要求した。声明の中で中央書記長のデニス・シャルヴェ氏は「経費削減計画に関して発表される情報が少な過ぎる。対策の中に幹部の給与削減が盛り込まれているのかも不明」と批判し、幹部の給与額の10%削減を要求している。
さらに「UBSはかなりの利益を上げたばかりであり、この削減計画が本当に必要なのかも疑問だ」と踏み込む。UBSは第2四半期に約10億フラン(約968億円)の利益を上げた。しかし、前年と比較すると半分の額だ。
金融界の節減
人員削減に踏み切ったのはUBSだけに限らず、この傾向は現在、世界各地で見られる。スイスの銀行第2大手クレディ・スイス(Credit Suisse)は7月、約2000人の人員削減を発表した。うちスイスでは約500人が対象となる。
またイギリスのHSBC銀行も8月初旬に2万5000人の削減を発表したほか、アメリカの投資銀行ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)も人員削減を計画している。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。