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UBS株主総会、リスク懸念も買収には幅広い支持

UBSの株主総会
UBS経営陣は、株主の承認なしでクレディ・スイスの買収を決めたことについて説明した © Keystone / Georgios Kefalas

スイス最大の金融機関UBSは5日、ライバル行クレディ・スイス(CS)の買収合意後初の年次株主総会を開いた。2行の大規模合併に関し、株主からはリスクを不安視する声が上がったものの、幅広い支持が集まった。

バーゼルで開かれた総会では、UBSのコルム・ケレハー会長が「これらの事業の統合には膨大なリスクがある」ことを認めつつ、UBSはこの難局をうまく乗り切れると断言した。また、CS統合には、投資銀行の閉鎖を除き3〜4年かかるとの見通しを示した。

退任が決まっているラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)も課題はあると認めつつ、合併は好機をもたらすと強調。ウェルス・マネジメント、アセット・マネジメントで合計5兆ドル(約700兆円)の資産を持つ銀行が誕生し、UBSにとってさらなる基盤強化に繋がると述べた。

UBSは先月、CSの破綻と金融市場への影響を回避するため、政府の支援付きでCSを30億フランで買収する案に合意した。ケレハー氏は総会で、株主の議決を経ずに買収が決まったことについて「状況を安定させるために直ちに行動する必要があった」と釈明した。

UBSの株主からは、雇用への影響など合併のリスクに対する懸念の声が一部上がった。

UBS執行部の再選と上級幹部の報酬規定の承認については、目立った抗議もなかった。元CEOのセルジオ・エルモッティ氏がハマーズ氏の後任を務める。

英語からの翻訳・宇田薫

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