ウクライナ戦争、スイスに求められる役割とは
ウクライナ戦線が再び動いています。ウクライナ軍はヘルソン市を奪還しました。ですが今もなお激しい戦闘が繰り広げられ、ロシアの攻撃は広がる一方です。
ロシアのウクライナ侵攻を巡るスイスの視点についてのニュースレターをお届けします。
冬が到来した欧州で今もなお続く戦争、そしてもはや無視できない地政学的な動き――。これは欧州全体に影響を及ぼしています。イタリアと英国では大きな政権交代があり、ドイツではエネルギーと外交政策を巡り連立政権が奔走しています。ドイツはついにウクライナへの戦車供与に踏み切りました。しかしスイス製の弾薬をウクライナに提供したいという同国の申請を、スイス連邦政府は拒否しました。
足かせとなっているのは、紛争当事国への武器輸出を禁ずるという中立国としての決まりです。
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中立とは、軍事的にどちら側も支持しないことであり、正しい側をも支持しないこと――。これはハーグ条約の原則です。しかしスイスは武器輸出国と人道的伝統という2つの相容れない顔を持ちます。
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ウクライナでの戦争に対する連邦政府の方針は明らかです。弾薬の提供をしないかわりに、無制限の連帯を表明しています。
その点を強調するため、スイスのイグナツィオ・カシス連邦大統領は10月、ウクライナのキーウを訪問。厳しい冬を迎える現地の戦況や人道的状況の把握のほか、同国の復興に向けた準備作業が主な目的でした。本来は連邦大統領が果たすべき役目ではありませんが、連帯をアピールする意味合いがあったようです。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領との記念写真がそれを物語っています。
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一方で、ロシアに批判的なことで知られる英金融家ビル・ブラウダー氏は今、米国や国際機関を相手にスイスへの圧力を強めるよう働きかけています。弊社の記者がその意図を聞きました。
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私たち市民は、一体何ができるのか?そう繰り返し自分に問う重要性が高まっています。swissinfo.chを退職したガビ・オクセンバイン記者は、自らも行動を起こそうと決意。ウクライナの家族を自宅で受け入れ、共に生活する様子をブログで紹介しています。最新の投稿では、ビクトリアとポリーナがベルンに自分たちの新しい引っ越し先を見つけ、旅立つ様子が描かれています。
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