市場では、欧州中央銀行が利上げするまでスイス国立銀行(中央銀行)も利上げしないとの見方が多勢を占める
© KEYSTONE / GAETAN BALLY
スイスの主要銀行の多くは、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)による利上げの時期を2019年3月から半ばと見ている。長期金利は利上げを待たずに上昇するとの見方が多い。
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SNBは中銀預金金利をマイナス0.75%、短期金利の指標となる3カ月物ロンドン銀行間金利(LIBOR)の誘導目標をマイナス1.25~マイナス0.25%に置くマイナス金利政策を採用している。先月15日も「フランは引き続き過大評価されている」ことなどを理由にマイナス金利政策を据え置いた外部リンク。経済紙「フィナンツ・ウント・ヴィアトシャフト外部リンク」が11日、国内銀行6行への金融政策に関するアンケート調査をまとめた。
クレディ・スイス外部リンクは欧州中央銀行(ECB)の利上げを前提に、SNBが来年3月に利上げするとみる。ただ預金金利はマイナス0.5%、LIBOR誘導目標はマイナス1.0~0.0%と、政策金利は引き続きマイナス圏に置き、ECBより利上げペースを遅くする。19年内にもう一度利上げするとの見方だ。
一方、UBS外部リンクは18年12月にも利上げに踏み切ると予想する。前提として①スイス経済がフラン高でも堅調②ECBが資産買い入れを終了する③フランの対ユーロ相場が下落傾向を示す、の3点を挙げる。堅調な世界経済を背景に、スイスの18年の経済成長率は2.4%に拡大するが、SNBは金融政策の正常化に慎重姿勢を崩さないとみる。
ジュリアス・ベア外部リンクとチューリヒ州立銀行(ZKB)外部リンク、ザンクト・ガレン州立銀行(SGKB)外部リンク、ライフアイゼン外部リンクはSNBの利上げは早くても19年半ばとの見方だ。ZKBのチーフエコノミスト、ダーフィト・マルメット氏は米国でインフレ予想が強まり長期金利が上昇するとみるが、「欧州や日本では特筆すべき物価上昇リスクは生じない」と話す。
Swissinfo.ch/TM
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超法規的な政策金利はこの数年、伝統的な投資に対し大きな損害を与えてきた。銀行や保険会社、資産管理会社や年金基金などが保有する国債がその代表だ。
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2015年1月15日、午前10時29分。為替レートは、3年半前からほぼ変わらない1ユーロ=1.2スイスフランだった。だがその1分後、激震が走った。スイス中銀がフランの対ユーロ上限の撤廃を決めたのだ。これはフランの対ユーロでの高騰を防ぐため、11年9月に導入された対策だった。
市場は恐慌状態に陥った。数分のうちにユーロはフランに対して暴落し、史上最低の0.85フランまで下落した。その後数カ月で、対ユーロの為替レートは1.05〜1.08フランで安定した。これは特に、フランが再び高騰しないよう外貨買い戻しの政策をひっそりと続行していたスイス中銀の介入のおかげだった。
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