スイス第2の銀行クレディ・スイス(CS)は15日の株価急落を受け、スイス国立銀行(中銀、SNB)から最大500億フラン(約7兆1千億円)を借り入れる予定だと発表した。
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クレディ・スイスは15日夕の声明で、資金調達は同行の流動性の確保と投資家の信頼回復に必要だと説明。「この追加流動性は、クレディ・スイスの中核事業と顧客を支援するもの。クレディ・スイスは、顧客のニーズを中心に据えた、よりシンプルで集中的な銀行の構築に必要な措置を講じる」とした。
また「短期流動性ファシリティ」にアクセスし、約30億フランの負債を買い戻す予定という。
クレディ・スイスの発表の数時間前、中銀とスイス金融市場監督機構(FINMA)も声明で支援を表明した。
クレディ・スイスの株価は取引終了時に25%近く下落。1株当たり1.69フランとスイス第2位の銀行としては歴史的な安値となった。
他の銀行株にも影響
ここ数週間で米国の3つの銀行が相次いで破綻したことを受け、他の銀行株にも影響が出た。
SNBとFINMAは共同声明で「米国の特定の銀行の問題は、スイスの金融市場に直接的な伝染のリスクをもたらすものではない」とし「必要であれば、SNBはCS(クレディ・スイス)に流動性を提供する」と述べた。
スイスの金融当局がこうした異例の対応を取ったのは、「大きすぎて潰せない」とされる銀行の破綻を回避するためだ。市場不安を受け、顧客の預金引き出しが続く事態を防ぐ狙いもあるとみられる。
クレディ・スイスは筆頭株主のサウジ・ナショナル・バンクが追加の資金出資の可能性を否定したことを受け、株価が急落した。別の大株主であるハリス・アソシエイツも既に、クレディ・スイスの株式を売却すると発表している。
FINMAは「クレディ・スイスはシステム上重要な銀行に課される資本・流動性の要件を満たしている」とした。
中銀が経営不振の商業銀行の救済に乗り出したのは今回が初めてではない。
中銀は2008年の金融危機の際、スイス国内最大の銀行UBSの不良資産を引き取り、同行の存続を助けた。
クレディ・スイスはここ数年、相次ぐスキャンダルや訴訟に見舞われ、2022年は73億フランの損失を計上した。同行は同年、9千人の雇用削減を含む大規模な再編計画を発表した。
英語からの翻訳・宇田薫
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