モスクワに本社を置くカスペルスキー・ラボは、来年末までにスイスにデータセンターを開設する計画だ。ロシアが顧客を脅かすためにアンチウイルスソフトウェアを利用しているという西欧諸国の懸念に応じる。
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アンチウイルスソフトウェアの世界大手カスペルスキーは、同社がロシアの諜報機関の要求を受け顧客のスパイ活動をしていると米国政府などから非難されている。
カスペルスキー社は、新しい施設の一部はチューリヒに拠点を置く方針。スイスを選んだのはその「中立の方針」と厳格なデータ保護法のためだとする。
ロイター通信は3月にカスペルスキー社の計画を報道。米国、英国、リトアニアで同社製品がボイコットされたことに対応し、同センターを設立するという同社の資料を引用した。
カスペルスキー社の最高経営責任者(CEO)で創業者のユージン・カスペルスキー氏はロイター通信の取材に「データストレージと処理施設、そしてソフトウェアの組み立てをスイスに移し、信頼の問題に取り組んでいる」と述べた。
「米国や欧州、日本、韓国、シンガポール、オーストラリアの顧客データは、今後スイスで保管・処理されることになる。さらに多くの国でも同様になる」という。スイスの地域行政局とモスクワのスイス大使館の支援を受けているとも述べた。
疑わしいファイル
カスペルスキー氏によると、チューリヒの拠点では米国や欧州連合(EU)、アジアの数千万人にのぼる顧客のうち、コンピュータ上で疑わしいと判断されたファイルを収集して分析する。
カスペルスキー社は、2020年までに同様のセンターを北米とアジアにも開設する計画もあるが、詳細は明らかにしていない。
同社の情報筋やロシア政府関係者によると、ロシアの諜報機関が同社のデータセンターを管轄外に置くことに抵抗し、スイスへの移転は頓挫する可能性がある。
西側諸国の治安当局者は、旧ソビエト連邦国家保安委員会の後継であるロシアの連邦安全保障サービス(FSB)が、カスペルスキー社の経営陣の決定に影響を及ぼしていると述べている。
Reuters/ts
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