極上のチョコレートを生産する国として評判が高いスイス。そのスイスからチョコレートを最も多く輸入している国はどこだろうか?
このコンテンツが公開されたのは、
2016/04/01 09:00
連邦税関事務局の最新の統計によると、スイスチョコレートの輸出先第1位はドイツ。その輸出量は2万1千トンを超え、スイスが2015年に輸出したチョコレート全体の約18.5%を占める。
昨年のスイスのチョコレート輸出量は約11万5千トン。下のグラフはスイスから各国に輸出されたチョコレートの量(キログラム)とその売上高(フラン)を示している。
スイスチョコレート製造業者連盟(Chocosuisse)による最新データでは、15年のチョコレート輸出売上高は8億4500万フラン(約983億3800万円)。14年と比べて2.5%増加した。スイスチョコレートの主な輸入国はドイツに続いて順に、英国(12.1%)、フランス(9.4%)、カナダ(7.7%)だ。
また意外にも、チョコレートの伝統を持つベルギーが、オランダと並んでスイスチョコレートの輸入量が最も増加した国の一つに挙がっている。また欧州連合(EU)加盟国以外で輸入量が増えた国には、オーストラリア、シンガポール、アラブ首長国連邦、日本などが含まれる。
一方で、中国やロシアなどの新興国市場へ向けた輸出売上高は、14年と比べ減少した。
スイスの創造性
しかし、原料となるカカオ豆の生産もしていないスイスのチョコレートが高く評価されているのはなぜか?
先日、英経済紙ファイナンシャル・タイムズに寄稿した、ケンブリッジ大学のハジュン・チャン准教授(経済学)はスイスインフォに対し、「スイスは何もないところから、ゆるぎない確かな一つの産業を発展させてきたからだ」と語った。
「ベネズエラやエクアドルなどのラテンアメリカ諸国は、最高品質のカカオ豆の生産を誇っている。それなのにチョコレートという言葉を耳にすると、自然に人々がスイスを思い浮かべるのはなぜか」。
チャン准教授の見解はこうだ。「それは何よりもまず、スイスの創造性と完璧さの追求の証だ。しかし興味深いのは、人々がスイスはチョコレートしか生産していないと信じていることだ。高級時計やアーミーナイフなども(名産として)挙げられるかもしれない。しかし人々は、スイスの収入源はチョコレート以外に、銀行やサービス業しかないと本当に思っている」
国外でスイス産チョコレートの人気が高い一方、国内では状況が異なるようだ。国内における15年のチョコレートの売り上げは5.9%落ち込み、1人当たりの年間消費量は14年の11.7キログラムに対し、11.1キログラムと減少している。
(英語からの翻訳・編集 説田英香)
続きを読む
次
前
おすすめの記事
スイスからメキシコの「チョコレート王」になった男
このコンテンツが公開されたのは、
2018/01/03
ジャンフランコ・アルノルディさんの生涯は、まるで絵に描いたサクセスストーリーのようだ。若くしてメキシコへ移住を決意したアルノルディさんは、そこで初のホワイトチョコレート製造者になる。彼が創業したチョコレート店は、今や数億円規模の企業にまで発展した。
もっと読む スイスからメキシコの「チョコレート王」になった男
おすすめの記事
多くのコーヒーカップから漂うスイスの香り
このコンテンツが公開されたのは、
2017/10/01
あなたが毎朝口にしているそのコーヒーは、スイスを経由したものかもしれない。スイスは世界のコーヒー貿易の中枢で、実はチョコレートやチーズよりも取引量が多いのだ。
もっと読む 多くのコーヒーカップから漂うスイスの香り
おすすめの記事
スイスのチョコレートメーカー、持続可能な生産支援の姿勢と現実にギャップ
このコンテンツが公開されたのは、
2015/09/07
スイスは、チョコレート製造で世界最大手のメーカーなどを抱える国だ。こうしたメーカーは、カカオ豆が生産される地域での児童労働の禁止や、生産農家の生活や農地の持続性を保証する「持続可能な生産」にも、積極的な参加の姿勢を見せる。しかし、こうした姿勢と現実にはかなりのギャップがある。
ジュネーブの隣町、カルージュで小さなチョコレート店を経営するフィリップ・パスキエさん。高品質とオリジナルな味で評判が高いこの店のチョコレートだが、パスキエさんはこのところ、カカオの生産地はどこか?といった質問を客から受けることが多くなったと言う。
もっと読む スイスのチョコレートメーカー、持続可能な生産支援の姿勢と現実にギャップ
おすすめの記事
チョコレート産業の行方
このコンテンツが公開されたのは、
2012/08/15
国際会計事務所KPMGは、市場はすでに確立し健康問題や個人的商品の流行が定着した一方で、最近の消費者の要求はさらに多様化していると報告している。 「多くの企業が、入れ替わりの激しい市場でトップの座を守ろうと奮闘している…
もっと読む チョコレート産業の行方
おすすめの記事
カカオ豆の生産量増加で、原産地農家の暮らしを助けるスイス企業
このコンテンツが公開されたのは、
2012/01/29
スイスに本拠地を置くネスレ(Nestlé)やバレーカレボー(Barry Callebaut)などは、カカオ豆の生産量を増やせば、会社や農家、消費者にメリットがあると主張。一方、監視団体はそうした企業の試みには問題点もある…
もっと読む カカオ豆の生産量増加で、原産地農家の暮らしを助けるスイス企業
おすすめの記事
スイスアーミーナイフの正しい使い方
このコンテンツが公開されたのは、
2018/02/01
スイスのお土産の代名詞、スイスアーミーナイフ。この世界的に知られたナイフについて、あなたはどれだけ知っていますか?スイスアーミーナイフの本当の使い方、教えます。
もっと読む スイスアーミーナイフの正しい使い方
おすすめの記事
卵でわかる スイスの特徴
このコンテンツが公開されたのは、
2018/01/15
卵を見れば、スイスの文化は一目瞭然?卵パックのサイズや色が語る、スイスという国の特徴を映像で解説します。
もっと読む 卵でわかる スイスの特徴
おすすめの記事
スイス人の特徴 あなたのスイス人度はどれくらい?
このコンテンツが公開されたのは、
2017/01/12
スイス人の特徴とは何だろう?典型的なスイス人女性は何を面白いと思って笑うのだろう?外国人がネイティブのスイス人と思われるため、あるいは少なくとも周りから浮かないようにするには、どう振る舞えばよいだろう?その答えは、英国人の作家ディッケン・ビュースさんの最新作「How to be Swiss(スイス人になるには)」にある。ビュースさんに話を聞いた。
swissinfo.ch: スイスに関するビュースさんの最新作「How to be Swiss(スイス人になるには)」は何について書かれていますか?
もっと読む スイス人の特徴 あなたのスイス人度はどれくらい?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。