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スイスの大銀行にも暗雲

大銀行の華やかなビルにも天候の暗転が映る Ex-press

ここ数週間、雨の多い肌寒い日が続くスイス。大銀行の上空も雨模様だ。最大手のUBS銀行に続き、第2大手のクレディ・スイス(Credit Suisse)銀行も低迷の第2四半期業績を発表した。

世界的な債務問題や納税問題に並んで、スイスフラン高と投資熱の低下も銀行を苦しめている。

 7月26日、UBSが第2四半期の業績を発表した。利益は前年同期に比べ半減し、10億フラン(約970億円)を計上。2日後の28日にはクレディ・スイスも同じく業績の低下を発表した。純利益は7億6800万フラン(約743億円)で前年同期比の半額以下となった。

 両行とも今回の業績は予想以下。このままでは、UBSは2014年の利益目標を達成するのはおそらく不可能だろう。この目標達成は、金融危機に見舞われ、その後公的資金による救済を受けた後、UBSが通常の体制に戻るために不可欠な要素と見なされている。

債務と税金

 今回の業績には、ヨーロッパおよびアメリカにおける各国家の債務危機も影響を及ぼしている。それに加え、両行ともアメリカとの間で脱税問題がくすぶり続けており、これが更なる不安要因となっている。

 アメリカは外国で脱税者を追及する一方、国内では政党間で財政赤字や税率の引き上げをめぐる闘いを繰り広げている。このような状況が投資者の熱を冷まし、売上高が下降。各国の銀行の業績に暗い影を落とすことになった。また、低金利も全般的に負担となっている。

 これに加え、スイスの銀行にはさらなる負担がかかっている。債務危機がスイスフラン高に拍車をかけ、人件費が高騰した。このスイスフラン高がさらに、ユーロとドルで計上している地域すべてで利益の減少を招いた。スイスフランに換算すると、これらの利益は雲散霧消してしまう。

 投資部門の業績も芳しくなく、特に同部門が構造的に柔弱なUBSでは、収益が人件費を割るほどの落ち込みを見せた。

アメリカ政府との問題

 アメリカ政府とはUBSもクレディ・スイスも問題を抱えている。3年前、UBSに対する脱税訴訟問題が持ち上がったが、クレディ・スイスにも同じ問題が浮上した。しかし、ブレディ・ドゥーガン最高経営責任者(CEO)は、これがUBSと同様のケースに発展するとは考えていない。

 28日の記者会見でドゥーガン氏は、捜査はクレディ・スイスの評判を落とすことになりかねないが、新規資金の流入は好調であり、顧客の信頼は失われていないと強調した。第2四半期の新規資金額は実額で143億フラン(約1兆3831億円)、UBSの新規資金流入は87億フラン(約8415億円)にとどまった。

節減対策

 UBSはこの先2、3年で最高20億フラン(約1934億円)の費用削減を計画している。世界各国で合わせて6万5000人を雇用しているが、スイス国内でも人員削減は回避できそうにない。2007年、アメリカでサブプライム危機が発生したとき、UBSは8万3000人を超える従業員を抱えていた。

 クレディ・スイスは国内外全体で4%、およそ2000人に当たる人員削減を発表した。これは昨年、市場が金融危機から回復することを見込んで増員した分に相当する。現在の従業員総数は約5万700人。2008年末にも5300人と大規模な人員削減を実施した。スイスでの雇用は全体の5分の2に当たる。

( 独語からの翻訳・編集、小山千早)

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