スイスアルプスを一望できる山上湖ブラウゼー外部リンクの地下水に毒性物質が浸み込み、それが理由で養殖場の魚数万匹が死んだと所有者が訴えている。所有者らは、付近にあるレッチベルクサミットトンネルの改修工事を請け負う企業と行政機関に非があると訴える。
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ブラウゼーの所有者の1人、シュテファン・リンダー氏によると、湖近郊の砂利工場で地下水を測定したところ、発がん性があることで知られるPAHs(多環芳香族炭化水素)の濃度が限界値の42万4000倍だった。
リンダー氏は17日、ベルンで会見。砂利採掘場から採取した水サンプルをさらに調べたところ、鉛や亜鉛などの重金属の基準値を大幅に超える値が出たと述べた。
リンダー氏は、数万匹の魚が死んだことによる損害は200万フラン(約2億円)に上ると述べた。同氏は損害賠償の予定もあるとしたが、まずは汚染者の特定が必要だと語った。
「明白な」つながり
人気の観光地でもあるブラウゼーでは2018年以降、養殖場におけるマスの大量死が相次いでいる。
ブラウゼーの管理者は、湖と養殖場の水槽の1つの水源である地下水に、毒素が浸み込んでいることが原因とみる。リンダー氏によると、魚が死んでいるのが見つかったのは今回の水槽だけで、他の水源から水を供給している水槽ではこうした事故がない。
リンダー氏らは、この毒素が2018年8月から改修工事をしているレッチベルクサミットトンネルにあった砂利と、タール処理された枕木から来ていると考えている。現在の線路は取り除かれ、コンクリート基礎に代わっている。
古い砂利と枕木は外して分離し、ブラウゼー付近のミットホルツ砂利工場の敷地に運ばれた。しかし、6月中旬に湖の管理者が通報してベルン州が介入するまで、ここに約1千トンの細かい原材料も投棄されていた。
ベルン水道・廃棄物局のジャック・ガングイン局長は、この投棄は違法に行われたと述べた。当初は、すべての材料をヴィミスの専門工場に運び、そこで洗浄する予定だったという。
ブラウゼーの管理者は、ベルン当局の対応が不適切だった、あるいは該当企業への対応が遅れたと批判している。
管理者らは、トンネル掘削材料をミットホルツに投棄することを禁止して以来、ブラウゼーでの魚の死亡率は大幅に低下したと述べた。このためトンネル改修との時間的、空間的、事実に基づいたつながりは「明白」だと主張する。
「スキャンダル」
会見に出席した地質学者ハンス・ルドルフ・キューセン氏は、ある「スキャンダル」について話した。同氏は、トンネル改修前の予備調査が実施されたのか・また解釈が正しくなされたのかは疑わしいと言う。
同氏は、ミットホルツの砂利工場が地下水流の真上にあることは長年、既知の事実だと言い「埋立禁止の施行はまさにそれが理由だ」という。
地元当局は、飲料水は地下水ではなく湧き水から供給されているため(毒素の)影響を受けておらず、問題は全くないとしている。
ベルナー・オーバーラントの検察庁は現在、刑事事件として捜査を始めた。水質・環境保護法、州の廃棄物管理法違反の疑いがあるとみている。
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