スイス国立銀行(中央銀行、SNB)が、通貨フランの上昇を抑えるため介入を辞さない姿勢を改めて鮮明にしている。ウクライナでの戦争により安全通貨のフランに資金が流れ込み、対ユーロ相場がパリティー(等価)を超えた。
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フランの対ユーロ相場は7日のアジア市場で一時1ユーロ=0.9910フランに上昇した。SNBが対ユーロ相場の上限を突如撤廃した2015年以来7年ぶりのフラン高・ユーロ安水準となった。
SNBは声明で「スイスフランは現在、ドルや円と並び逃避通貨として買われている」とし「スイスフランは引き続き過剰評価されている。SNBは必要に応じ、外国為替市場に介入する用意がある」と述べた。
フラン相場の上昇は輸出が主要産業であるスイス経済に打撃となる。欧州連合(EU)はスイス最大の貿易相手だ。スイスの対EU輸出額は1080億ユーロ(約13兆5千億円、2021年)で、化学、医療品、機械、器具、時計が大半を占める。
SNBのアンドレア・メクラー理事はドイツ語圏の週末紙シュヴァイツ・アム・ヴォッヘンエンデの5日付のインタビューで、SNBは外国為替市場の動向を強く注視しており、「必要があれば介入する準備がある」と述べた。
「当初は、世界的な不確実性が発生した時に比べてフランの上昇幅がやや小さいことに気づいた。それは1週間のうちに変わった」
メクラー氏はスイスでのインフレが加速していると指摘。特に原材料や食品価格が上がっているが、SNBは世界的なインフレがいずれ「正常化」し、中長期的には低下すると見ていると説明した。
SNBのマイナス金利政策の撤廃は考えていないとし、撤廃に関するあらゆる決定は「突然に下されることはない」と強調した。
SNBが7日発表した年次報告によると、21年の利益は263億フラン(3兆3千億円)に上った。外貨準備からの収益が257億フランだった。
これにより、連邦や州政府への分配金は約60億フランとなる。
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