金融危機から10年。スイスの銀行はようやく国民の信頼を取り戻した。だがスイス国民の3分の2以上は、銀行が依然として不正やマネーロンダリング(資金洗浄)の温床になっているとみている。
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スイスの「銀行の国」としての名声は過去2年で大きく向上した。銀行業界の業績も回復。長きにわたる沈静化と世界レベルで銀行秘密が終焉した。
世論調査機関gfs.bernが3月に実施したアンケート外部リンクで、回答者の58%がスイスの銀行について好意的なイメージを抱いていた。2017年の前回調査では49%だった。否定的な意見は13%と前回から8ポイント下がり、好意的でも否定的でもないのは前回と同じ29%だった。調査はスイス銀行協会が委託した。
スイス国民の半数以上が銀行に対し好意的なイメージを抱くのは08年以降で初めてだ。銀行業界は少なくとも世界水準で、金融危機前に享受していた信頼度を取り戻したといえる。
信用回復の源泉は銀行の頑健性、信ぴょう性、専門性だ。回答者の8割以上がこれらの要素を好意的に評価した。
08年の金融危機にもかかわらず、スイス国民の圧倒的多数が銀行業界は経済的に大きな意味を持つと考えている。
回答者の78%は「銀行は税収に大きく貢献している」と考える。また「銀行は中小企業の資金調達に重要な役割を果たしている」と考える人は72%に上った。
ただ銀行への信頼は無条件ではない。訴訟や罰金、役員への高額報酬は、銀行の社会的責任や注意義務の順守に関する銀行のイメージを著しく傷つけている。
悪用を防ぎ金融業界を浄化するべく、この数年に複雑なルールが導入された。それでも回答者の3分の2以上はこうした点については否定的な意見を持つ。
もう1点、スイス国民が銀行の利用者として気にしていることがある。銀行のデジタル化によるサイバー攻撃のリスクだ。銀行のデジタル化は預金の安全を損なうと考える人は44%に上り、より安全に考える人の30%を上回った。
またデジタル化が新たな雇用削減につながるという見方もある。スイスでは金融危機後、抜本的なリストラが断行され、銀行業界で働く人は減った。今では銀行業界で働くのは全労働者の3.5%に過ぎない。
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