天皇陛下「生前退位」ご意向 スイス各紙で大きく報道
宮内庁は8日、天皇陛下が自らの「お気持ち」を述べたビデオメッセージを公表。スイスメディアもこれを大きく取り上げた。スイス・ドイツ語圏の有力紙NZZは、天皇陛下の「生前退位」の意向は「公知の秘密」であったと報道。高齢に加え、自らが昭和天皇の最期を経験したことが今回の意向表明につながったと指摘した。
天皇陛下が「お気持ち」を述べたビデオメッセージ公表を受け、独語圏の日刊紙NZZ、ターゲス・アンツァイガー、仏語圏の日刊紙ヴァントキャトラー、ル・マタンをはじめとする多くのスイスメディアは、天皇陛下の言葉を引用しながら大きく伝えた。
各紙は、 天皇陛下がビデオメッセージで「体力の面などから様々な制約を覚えることもある」と述べられたこと、「これまでのように全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じている」と懸念を表明したことを伝えた。また、天皇陛下が意向を示した「生前退位」は現法で認められておらず、天皇陛下による国政への関与と理解されるのを避けるため、退位の意向の直接的な表現はなかったと報道した。
今回の退位の意向はすでに「公知の秘密」であったと伝えるNZZは、「天皇が健康を損ない深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念される」という天皇陛下の言葉を引用し、昭和天皇の最期を間近で経験したことがこのような発言につながったと指摘。「生前退位」の実現には法改正が必要な一方、「国民の大多数が退位に賛成している」と伝えた。
皇位継承者
また日刊紙ターゲス・アンツァイガー、NZZ両紙は共に、ビデオメッセージに対し安倍首相が「どのようなことが出来るのか、しっかりと考えていかなければいけない」と天皇陛下の発言を重く受け止めたと報道。同時に「もし天皇陛下が生前退位すれば、皇位継承者は皇太子だ」と伝えた。
皇太子さまは2014年6月、日本・スイス国交樹立150周年の名誉総裁としてスイスを公式訪問している。ベルン滞在中にはアレクサンダー・チャペット市長の案内で旧市街を散策した。
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地元住民とも触れ合うことができたベルン訪問は、普段は厳しい警戒態勢の中で過ごされる皇太子さまにとって良い息抜きになったのではないか、と当時の日刊紙ベルナー・ツァイトゥングは報じている。またチャペット市長はスイスインフォの取材に対し、「ベルンをとても気に入っていただいたようだ。家族でぜひもう一度訪れたいとおっしゃって下さった」とコメントしていた。
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