政府やハッカーによる電子メールの覗き見を防ぐ、簡単で分かりやすいメールサービスを開発したという男性に話を聞いた。
このコンテンツが公開されたのは、
きっかけは2013年、エドワード・スノーデン氏が「米政府が膨大な量の通信傍受を行っていた」と暴露した頃にさかのぼる。
その後、ジュネーブの欧州合同原子核研究機構(CERN)で働く素粒子物理学者のアンディ・イェンさんは、数人の同僚と共に、電子メールの受信・送信を安全にする方法について考え始めた。
その彼らが開発した「プロトンメール(ProtonMail)」は、スイス国内に全てのサーバーを置くメールサービスだ。開発のねらいについて、イェンさんに話を聞いた。
おすすめの記事
おすすめの記事
科学者が開発 情報漏えい防ぐメールサービス
このコンテンツが公開されたのは、
(Carlo Pisani, swissinfo.ch)
もっと読む 科学者が開発 情報漏えい防ぐメールサービス
「エンドツーエンド(end-to-end)」によるメールの暗号化が、プライバシーを守る鍵となる。
おすすめの記事
おすすめの記事
「エンドツーエンド(end-to-end)暗号化」とは何か?
このコンテンツが公開されたのは、
(Carlo Pisani, swissinfo.ch)
もっと読む 「エンドツーエンド(end-to-end)暗号化」とは何か?
現在広く使われているサーバーを利用した暗号化と比べ、エンドツーエンド暗号化では、送信者と受信者だけがメール内容を閲覧出来る。データを解読する鍵がサーバー上に存在せず、利用者のパソコン上にあるためだ。
既に良く知られた暗号化技術のエンドツーエンド方式を、エンドユーザー向けに簡潔化したのが「プロトンメール」だ。しかし、あらゆるパソコンのブラウザ上から直接、自身のアカウントにログインできてしまうため、プロバイダにセキュリティーリスクが生じやすく、ユーザーの情報が漏れる可能性も指摘されている。
「開発を進めるにつれ、スタートした当初には思いつかなかった、たくさんのメリットがスイスにあると気付いた」とイェンさん。その中立性ゆえ、世界中の人々にとってスイスは安全にデータを置いておける場所だと話す。また、スイスのプライバシー保護法は非常にしっかりしているともいう。
「プロトンメール」と似た開発を行っているのが、ジュネーブのSilent Circle社外部リンクだ。同社の「ブラックフォン2」は、電話やメッセージ内容を暗号化するサービスを提供している。
皆さんはオンライン上でどのようなプライバシー対策を取っていますか?意見をお聞かせください。
(英語からの翻訳&編集・大野瑠衣子)
続きを読む
おすすめの記事
ペーパーレスで安全な電子投票、実現なるか-長期プロジェクト
このコンテンツが公開されたのは、
電子投票の安全性が問われている。電子式かつ安全な投票システムの実現化は夢ではないが、壁がある。完全なペーパーレスはまだ難しい状態だ。電子投票の現状を科学的な視点から検証してみた。
「現在スイスで使用されているシステムでは、有権者が自分の1票の行方を確認する術が全くない。システムを信用するしかない」と言うのはベルン専門大学の情報社会安全研究所(RISIS)のロルフ・ヘニ教授(情報学)。
また、同研究所のエリック・デュブイ所長は次のように話す。「安全性には力を入れてきたが、初期のシステムには『認証』という重要な要素が欠けているため、自分の一票が本当に自分の意思通り反映されているかを確認する手段がない。我々はその重要性をもう何年も強調している」
もっと読む ペーパーレスで安全な電子投票、実現なるか-長期プロジェクト
おすすめの記事
米政府による個人情報収集事件は、スイスのデータ保存に有利
このコンテンツが公開されたのは、
ベルン郊外にあるコンクリートのがっしりとした建物。これがスイスコムのデータセンターだ。ここでは、クライアントのデータという貴重な「財産」を、爆撃や地震、さらに飛行機の墜落事故などからも守っている。こうした「安全性」が、このビジネスがスイスで成長し続けている理由の一つだ。
このセンターが保存しているのは、通常のデータから銀行や企業の非常にセンシティブなデータまで幅広い。センシティブなものとは、スパイや政府の監視の目から逃れる必要のあるデータだ。この、必ず守ってくれるという「信頼性」もスイスのデータ保存ビジネスに、欠かせない要素だ。
最近、米政府が行っていた電話やネット上での膨大な量の個人情報収集は、世界中を揺るがせた。これは、中国によるスパイ行為の報道と重なって、一般の人々の情報収集に関する意識を高めることになった。しかし、関係者にとっては、何年も前からあった「周知の事実」に過ぎない。
ベルン州ツォリコーフェン(Zollikofen)
もっと読む 米政府による個人情報収集事件は、スイスのデータ保存に有利
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。