ロカルノ映画祭・国際コンペ部門 濱口監督の「ハッピーアワー」の主演女優4人に「国際最優秀女優賞」
ロカルノ国際映画祭のメイン「国際コンペ部門」の受賞発表で15日、濱口竜介監督の「ハッピーアワー」の主演女優4人が「国際最優秀女優賞」を獲得した。また、脚本に対しても「特別評価」が贈られた。最高の金豹賞は、韓国のホン・サンス監督の「Right Now、 Wrong Then」に授与された。
「ハッピーアワー」は、神戸に住む仲良しの30代の女性4人が、男女間の愛や、夫や同僚などとのコミュニケーションの難しさなどに悩む話だ。中には、夫から理解されないことが原因で離婚しようとしている女性もいる。
この映画の中で主役を演じた川村りらさん、三原麻衣子さん、菊池葉月さん、田中幸恵さんの4人は、皆いわゆるプロの女優ではなく他の職業を持ち、週末だけに映画撮影に参加したという関西在住の女性たちだ。
今回、監督と一緒にロカルノ国際映画際に参加した美しいドレス姿の4人は、上映後に観客から割れるような拍手を受け、カメラのフラッシュに囲まれた。
国際コンペ部門の審査委員長で俳優のウド・キエール氏は、この4人の演技を「演じていると感じさせない自然らしさが素晴らしかった。それが俳優として僕はとても好きだった」と高く評価した。もう1人の審査員、ナダヴ・ラピッド監督も「とにかく驚いた。素晴らしい演技だった」と話した。
脚本の「特別評価」
キエール氏はまた、脚本が「特別評価」されたことに対し、「対話がとにかく素晴らしかった」と語った。ラピッド監督は「今回、『ハッピーアワー』は僕にとって最も心に響いた作品だった。感情に訴えながら、同時に非常に知的に考察されている」と話したうえで、脚本を「対話が素晴らしいことに驚いた。また挿入されている朗読会の小説も考え抜かれたもので全体の流れにあっている。脚本はとにかくうまくできている」と興奮気味に話した。
また5時間17分という長さに対しては、「まったく長さは問題にならなかった。一度映画の中に入り込むと、自然にときが流れていった。まるで現実の生活の中にいるようだった。見ているときはちょっと長く感じられる部分もあったが、後になって考えるとその長さの理由が分かってくる。本当に『賢く』構成されている」とコメントした。
金豹賞
金豹賞に輝いた韓国のホン・サンス監督の「Right Now、 Wrong Then」は、ある韓国の監督が自作の上映会と討論会が開催される予定の一日前に到着したある街で、アーティストの女性に出会い、親しくなっていくという話だ。
監督は、ロカルノ映画祭が出版する雑誌の中で「妻がいる自分に、もしそういう出会いがあれば、どう反応するかと想像しながら書いた。脚本を書くこと自体がスリルに満ちた冒険のようだった」と語っている。
ホン・サンス監督の「分身」のようにして物語の中で監督役を演じた、俳優のチョン・ジェヨン(Jung Jae Young)さんに「国際最優秀男優賞」が贈られている。
監督は、すでに16本の映画を制作し、国際映画祭でも数々の賞を獲得。ロカルノ国際映画祭でも2013年に「最優秀制作賞」を受賞した。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。