スイスで廃棄物を一切出さない「ゼロ・ウェイスト(無駄ゼロ)」ショップが国内で広まっている。オーガニック製品に対する需要の高まりや、使い捨てプラスチック包装を嫌がる消費者の声を受けたものだ。
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欧州環境庁と経済協力開発機構(OECD)によると、平均的なスイス人は毎年700キログラム外部リンク以上のごみを出す。これは世界の中でも極めて多い。多くは食品廃棄物で、政府の2018年環境報告書によれば年間250万トンに上る。
レトルト食品やファストフードの使い捨て容器といったプラスチック包装も、ごみを増やす原因となっている。
>>スイスではプラごみをほとんどリサイクルしていない。それはなぜ?
反動
「ゼロ・ウェイスト外部リンク」は、プラスチックの使用をやめるだけではなく、資源の廃棄すらしない。 2015年設立の「ゼロ・ウェイスト・スイス協会」は、この運動により消費者の習慣を変えたいといい、国内の廃棄物削減に関する法律の制定を求め活動している。
同団体は、理念に賛同する国内のショップ、レストラン、中古ショップ、修理サービス業などをつなぐ「インタラクティブマップ外部リンク」を作った。
参加店舗は可能な限り地元産のオーガニック製品を提供。再利用可能な容器で販売するところも多い。
ベルンにあるオーガニックストア「LOLA外部リンク」は、依存症患者の外来治療を行う団体「Contact外部リンク」が運営。同店は2017年から、プラスチック包装を極力使わない製品を提供している。
クラウディオ・Cさんは常連客だ。ゼロ・ウェイストのライフスタイルを目指す上で「最大の課題は、必要なもの以外は買わないように気を付けること」と話す。
店の責任者ダニエル・ケニヒさんは、この店の方針を説明する(ビデオ参照)。
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スーパーマーケットがプラスチックを採用
ケニヒさんは、ゼロ・ウェイスト普及のおかげで、大手の食品流通企業も徐々に環境に優しい措置を取り始めているという。
「(大手スーパーの)コープでは、紙による梱包や、ゴムでとじられた製品が出てきた。梱包がらみのごみ削減に向け、プロセスの最適化を図っている。ナッツ類も種類ごとに容器に入っていて、必要な量を取れるようになっている」
コープ外部リンク広報のブリジッテ・ユングブルトさんは「2012年以降、1万9千トン以上の梱包材を削減、または環境面で最適化した。2020年までにさらに8千トンを削減、または最適化する」と話す。
ライバル社のミグロは公式サイト外部リンクで、段ボール箱ではなく再利用可能な容器を使用していると説明。しかし、プラスチックはいまだ重要な役割を果たす。同社は 「梱包材の如何よりも製品が早く腐ってしまうことの方が、環境に与える影響が大きい」としている。
(英語からの翻訳・宇田薫)
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