各国の年金制度の持続性や効率性を比較する最新の国際調査で、スイスは8位となった。特に制度の持続性が懸念され、2年前の4位から大きく順位を下げた。日本は30カ国中29位。
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豪人事・組織コンサルティング会社マーサーの「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数外部リンク」で分かった。同指数は2009年から毎年公表。30カ国を対象に、制度設計の「十分性」、対象の広さや長期性の「持続性」、ガバナンスや監督体制の「健全性」などの分野で、40以上の項目により評価する。
スイスは健全性の分野で高い評価を得たものの、持続性の低さが足を引っ張った。
調査では、スイスがこれだけ順位を落とした原因は、今年導入された過去3年間の経済成長率を考慮する新たな指針が影響していると指摘。スイスは巨額の年金基金に比べて年間の経済成長率が低かった(17年は1%未満の見込み)という。
このためスイスの総合評価はカナダや北欧諸国と同じ「B」ランクとなった。マーサーは「健全な構造と多くの優れた特性を有する制度ではあるが、改善すべき点がいくつかある」とした。今回、最高評価の「A」ランクを獲得した国はゼロだった。
同調査は具体的な改善策として、年金の受給開始年齢の引き上げや住宅の所有率の向上などを挙げた。
デンマークが6年連続で首位に立ち、オランダとオーストラリアが続いた。
変化への抵抗
スイスの年金制度は長年、政治的な議論が続いている。9月、年金制度の抜本的な改革案が国民投票にかけられたが、僅差で否決された。
高齢化社会に対応した持続可能な年金制度改革として、同改革を推進したアラン・ベルセ内相は女性の定年年齢を男性と同じ65歳に引き上げるほか、付加価値税(VAT)の値上げなどを提案。ベルセ内相は、このまま何も手を打たなければ、日本の国民年金にあたる老齢・遺族年金の財源が2030年まで枯渇すると訴えたが、国民投票では反対53%、賛成47%だった。
改革案に対し、一部の右派は改革案の内容が複雑すぎると批判。左派は女性の定年年齢引き上げ自体に反発していた。
(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
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