雄大なアルプスに囲まれたハイジの国、スイス。この国には約1万人の日本人が住み、写真集のような美しい風景に魅せられて毎年20万人の観光客が日本からやって来る。だが、旅行して、住んでみて、文化やライフスタイルの違いに驚くことも多い。ソーシャルメディアのコメントや読者から寄せられたメールなどを元に、swissinfo.chが「日本人がスイスに来て驚くこと」をまとめた。
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マルチメディア・ジャーナリスト。2017年にswissinfo.ch入社。以前は日本の地方紙に10年間勤務し、記者として警察、後に政治を担当。趣味はテニスとバレーボール。
ドイツ語の方言が難しい:スイスドイツ語はとてもユニーク。スイスに初めて来たドイツ人はスイスドイツ語の発音に戸惑うのだそうだ。人口860万人の狭い国土ながら地域によって方言が細かく分かれ、特に南部ヴァレー(ヴァリス)州の方言は発音が全く違うためスイス人ですらなかなか聞き取れない。でも、そんな故郷の方言をみんな誇りに思っている。
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4つの公用語を持つスイス、不便じゃないの?
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スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語だ。日本人には特異に映るが、当のスイス人たちはどう感じているのだろうか。
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日曜日はお店が休み:空港や主要駅を除き、基本的に日曜はどこのお店も休み。24時間営業のコンビニ店なんて期待してはいけない。一部の地域では、スーパーにお昼休憩があり、土曜日は午後4時に閉まる。日曜日の朝に「食べるものが何もない!」と焦らないよう、買い物は計画的に。
レストランは水が有料:スイスのレストランでは、待てど暮らせど「お冷(おひや)」は来ない。有料のミネラルウォーターを頼むか「水道水を下さい」と言わないと、乾いたのどを潤せない。
日曜日にうるさくしてはいけない:敬虔なキリスト教徒が多いスイスの日曜日は安息日。アパートで朝から掃除機をかけようものなら、隣近所から苦情が来る。午後10時以降のシャワーを禁止しているアパートも多い。
賞金は「牛」:国内の猛者が集まるスイス相撲シュヴィンゲンの大会は、国の一大イベント。優勝者に贈られるのは、現金100万円でもなくフェラーリでもなく、何と牛。アルプスでは牛はとても価値の高いもの。最高ランクの牛を手にするのは、選手たちにとって何より名誉なことなのだ。
犬も立派なお客様:デパートなどでは多くの人が犬連れでショッピングしている。動物病院ではペット用のパスポートがもらえ、陸路で国外に出るときは必需品。犬用の年間電車・バス乗り放題カード(子供料金の約半額)まであり、移動も楽ちんだ。もちろん、犬が座席に座ることは出来ないけれど。
チョコレートの種類が豊富:スーパーに行くと、一つの陳列棚が全部チョコレートの商品で埋め尽くされている。高価格帯の板チョコ、自社ブランドの板チョコ、クッキーやチョコレートバー、ナッツやブランデー入りなど、甘いもの好きにはたまらない。
「じゃあね」と言ってからが長い:
楽しいパーティもそろそろ終わり。さあ帰ろうと席を立ち、周りの人に「じゃあね」と言ったところでおしゃべりが始まる。気がついたら2時間経っていたなんてよくあること。ちなみにスイス人のあいさつは頬に3回キスをする。
羊の交通渋滞にご注意:日本では大型連休になると高速道路が大渋滞するが、スイスのアルプス地方では夏の終わり、「牧下り」と言ってアルプスの山から村に戻ってくる牛や羊の群れで一部の道路が「渋滞」する。牛にカラフルな花飾りを付けて村を練り歩く村もある。
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秋の風物詩「牧下り」 牛と酪農家のモチベーションは
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巨大なキュウリ:スイスのスーパーで売られているキュウリは長さが30センチくらいあって、太さも日本のキュウリの倍くらいある。ナスもピーマンもブロッコリーもイチゴも、驚くほど大きい。なのにジャガイモやたまねぎは、びっくりするくらい小ぶりだ。味?食べてのお楽しみ。
幼稚園で留年?:この国では何と、幼稚園から留年制度がある。何もテストで赤点を取ったからではなくて、座って先生のお話が聞けないとか、フランス語圏からドイツ語圏に引っ越してきたばかりで言語が分からないといったケースだ。幼稚園や学校で年の違う子供がクラスにいるのは、割と普通のこと。
小銭は要りません:外食するとき、小銭を受け取らない人が多い。例えばコーヒー1杯が3.8フラン(約450円)だったら「4フランで」と端数を切り上げて会計してもらう。この国ではチップを渡す必要はないが、対応の良かった店員に少し心づけをしてあげると、すごく喜ばれる。
家に上がるときは靴を脱ぐ:スイス人の家に招かれたら、基本的に靴は脱ぐ。何も言わずに土足で上がりこむと嫌な顔をされる。ただし、電気工事の人や引越し業者の人は土足のまま入ってくることが多い。
家に帰るまでが軍隊の任務です:金曜日の夕方、電車で銃を持った軍服姿の若者をよく見かける。兵役があるスイスの男性は一般的に年に数週間、軍の施設で訓練する。週末は家に帰るが、敷居をまたぐまで軍服を脱いではいけない厳しいおきてがある。
- 朝7時過ぎから工事が始まる、お昼休憩はきっちりとる
- スピード違反の罰金が非常に高い。時速25キロオーバーで260フラン(約3万円)
- 子供たちが学校のお昼休憩時に家にご飯を食べに帰ってくる。その後きちんとまた学校に行く
- ベランダに布団を干すのはタブー
- 洗濯機のコース選択ボタンが多い
- 喫煙者と歩きタバコをしている人が多いと感じる
- 薬物中毒者にドラッグを配布している
- 商品はすべてフランス語、ドイツ語、イタリア語の3カ国語表記
- 駅に改札が無い
- 預金に課税される
- いらない家具などを「無料です。ご自由にどうぞ」と書いて家の前に置いておく
- 天気が良くても洗濯物を外に干さずに乾燥機を使う
- おにぎりが酢飯
- 家探しをする際、まだ前の住人がいるのに物件の下見をする
- 州をまたいで引っ越したら運転免許証も書き換え
- 緑茶に砂糖が入っている
- ホテルにクーラーがない
- スイスの国旗や州の旗をベランダに飾っている人が多い
- 路上にゴミ箱がとても多い。犬のフンを入れる袋が備え付けられている
- 雨でもあまり傘をささない
- 「スイスロール」はスイスでは買えない
- スイスでは運転免許の取得試験に3回落ちると、心理学検査を受ける
- 今まで3回、スイスを旅行したが、3回とも、スイス在住の人は、日本人をとても好きなようで笑顔を見せてくれる。だから、またスイスに行きたくなる
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筆者は最近、米ニューイングランド地方に旅したが、そこで実感したのはスイスとアメリカ(それにカナダ)の間には、まだまだ文化的に多くの違いがあるということだ。欧州大陸では度々そうなのだが、スイス人がアメリカ人と同じようにスターバックスをひいきにしたり、動画配信サービスNetflix(ネットフリックス)やオンラインショップAmazonを利用したり、歩きスマホをしたりしていても、日常のいろいろなことが明らかにアメリカとは違う。
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青い空、太陽、ターコイズ色の水、しかもイタリアのミラノからわずか1時間―。約1分の短い動画では、ヴェルザスカ渓谷はこんな風に紹介されている。水着姿の若い男女が岩場から水面に飛び込んだり、透明な水の中を並んで泳いだりと、とても楽しそうだ。動画を撮影したのはビデオブロガーのマルコ・カペドリさんで、7月中旬に動画投稿サイトYouTubeで公開。瞬く間に話題になり、交流サイトのフェイスブック上ではこれまでに300万回近く再生された
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