福島第一原発事故後、福島県郡山市から子供二人を連れて大阪府に避難している森松明希子さんが19日、ジュネーブで開かれた国連人権理事会(UNHRC)でスピーチし、自主避難者に対する支援継続などを日本に求める理事会勧告について「同意するだけではなく、日本政府は直ちに政策に反映して欲しい」と訴えた。
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森松さんはこの日開かれた日本の人権状況の審査に対する会合で、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの仲介でスピーチ。「情報が与えられず、無用な被ばくを重ねた。私は汚染された水を飲むしかなく、赤ん坊に母乳を与えてしまった」と当時の経験を振り返った。
森松さんはまた「日本政府は市民を守るための施策はほとんど実施してこなかった。その上放射線量の高い地域への帰還政策にばかり力を注いでいる」と訴え、加盟国に「福島、東日本に住む、特に子供たちを放射線被ばくから守るため力を貸して欲しい」と呼びかけた。
グリーンピース・ジャパンによると昨年、避難指示区域外から全国に自主避難している福島県民約2万9千人への住宅無償提供などの支援が打ち切られた。
人権理事会は昨年11月、自主避難者も含めた被災者支援の継続や死刑制度廃止など、計217項目に上る人権の状況改善を日本に勧告。政府はこのうち被災者支援など145項目を受け入れた。この日の会合では、政府回答を反映した報告書が採択された。
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日本とスイス 対照的な原子力政策
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東京電力福島第一原発事故から6年。スイスは2017年5月21日、原子力に拠らない未来をかけて国民投票を実施する。逆に当の日本は停止していた原子炉の再稼動に動き出している。この逆転現象の背景にあるのが直接民主制だ。
二国のエネルギー政策を取り巻く環境は共通する面が多い。日本とスイスはともに代表民主制を採る。輸出中心の工業立国であり、数十年間核エネルギーが重要な役割を担ってきた。2010年時点で両国とも原子力発電が電力総需要のほぼ3分の1を占めていた。
だが原子力の平和利用は核だけでなく現代社会を分裂させる。日本でもスイスでも、最初の原子力発電所の設立計画が動き出した1950年代、数百万人が危険な技術に反対してデモ行進をした。
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第1回世論調査 新エネルギー法は可決の見通し
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スイスでは5月21日、国民投票で新たなエネルギー法の可否が問われる。スイス放送協会(SRG SSR)の委託を受けた世論調査機関gfs.bernの行った第1回世論調査によると、61%が脱原発を定める新エネルギー法に賛成と回答。投票率は45%と予想されている。
新たに策定されたエネルギー法は、脱原発と再生可能エネルギーの推進を掲げるスイス政府の「エネルギー戦略2050」を土台にしたもので、連邦議会ではすでに承認されている。第1回世論調査によれば、回答者の61%が賛成、30%が反対で、まだ決めていないと答えた人は9%だ。
新エネルギー法は、スイス国内にある原子力発電所全5基の順次廃止に加え、再生可能エネルギーの促進と省エネ推進に焦点を当てている。安全なエネルギー供給を保証し、化石燃料への依存を減らすことが目的だ。
有権者はすでに意見形成
調査を請け負ったgfs.bernは、第1回調査結果はあくまでも現時点での傾向を示すものだとしながらも、同機関のクロード・ロンシャン取締役会長は6日の結果発表で、新エネルギー法が可決される可能性が高いと述べた。
確かに、投票に向けた各陣営のキャンペーンは始まったばかりで、今後何か動きがあるかもしれない。だが、今回の調査結果が覆えるほどの変化はないとみられている。調査回答者の52%が「今後意見を変えるつもりはない」と答えているからだ。
「スイスでは、定期的にエネルギー政策に関する国民投票が行われている。そのため、今の段階ですでに有権者の意見が固まっていてもおかしくない」と、政治学者でもあるロンシャン氏は言う。今回の77回目の世論調査結果発表を最後に会長の座を退く同氏によれば、現段階ですでに有権者の意見が形成されているのが、今回の投票のカギだという。「第1回世論調査の数字としては、今までになく高い数字だ」
新エネルギー法をめぐる議論の内訳では、将来につながる雇用創出の見通し(賛成73%)、身近な再生可能エネルギーの使用(61%)、脱原発(54%)などが大きな支持を得ている。
反対派では、官僚主義への批判(63%)、コスト増(56%)などが新エネルギー法反対の主な理由として挙がっている。だが一方で、新法の可決により国のエネルギー供給が脅かされると考える人は回答者のわずか37%に留まった。
どこから見ても可決の見通し
有権者の意見がすでに固まっているということが、新エネルギー法可決が予測される唯一の理由ではない。
政党レベルで見ると、反対を表明しているのは、今回の国民投票のきっかけとなるレファレンダムを起こした右派・国民党(党員54%が反対)のみ。無所属を含むその他の政党では、各政党で賛成が60%を下回ることはなく、左派政党に至っては、緑の党で賛成83%、社会民主党で87%と、驚異的な数字が出ている。言語地域間での意見差もほとんどなく、賛成はフランス語圏で68%、ドイツ語圏57%、イタリア語圏68%。
また、平均的な収入と教育レベルを持つ「中間層」で賛成が多いことも、新エネルギー法可決が予測される根拠になるとロンシャン氏は言う。
ロイトハルト効果
新エネルギー法賛成派には、大きな切り札がある。大統領を兼任するドリス・ロイトハルト環境・運輸・エネルギー・通信相だ。脱原発とエネルギー戦略2050を進める中心的人物であり、調査回答者の65%がエネルギー政策においてロイトハルト氏を信頼していると答えている。
ロンシャン氏は、「大統領に対する支持率がこれほど高いのは、スイスの特徴だ」と話す。「例えばフランスでは、オランド氏やサルコジ氏、シラク氏でも、支持率はすぐに20%以下に落ち込み、再び支持率が上がることはなかった。そう考えると、支持率65%というのは驚異的な数字だ」
gfs.bernは、「政府やロイトハルト氏に対する信頼度が、今回の国民投票で有権者の支持を勝ち取る上で大きな影響を与えるだろう」と分析している。国民投票に関する世論調査
スイスインフォの親会社であるスイス放送協会(SRG SSR)の委託を受けて、世論調査機関gfs.bernが実施。
今回は3月20~31日の期間に1203人が電話で回答した。誤差の範囲はプラス・マイナス2.9ポイント。
在外スイス人は、データ保護の観点から調査機関が個人情報にアクセスできないため、調査対象外になっている。
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段階的脱原発や再エネ促進など、スイスのエネルギー転換を国民に問う
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福島第一原発事故を受け、スイス政府はエネルギー転換を目指す改正法案「エネルギー戦略2050」を立ち上げ、昨年秋の国会でようやく成立させた。原発に関しては、新しい原発は作らないが既存の5基の原発の寿命は限定しないとする「ゆっくりとした段階的脱原発」を決めている。しかしこの法案に対して反対が起こったことから、最終的に5月21日の国民投票で国民の判断を仰ぐ。
エネルギー戦略2050は、 スイスの包括的なエネルギー転換を図るものだ。そのため、段階的脱原発だけではなく、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の促進やエネルギーの効率的利用を進めていく。政府の目的を一言で言えば、「スイス国内での十分で確実なエネルギー供給を保障し、同時に外国からの化石燃料の輸入を削減すること」だ。
再エネに関しては、太陽光発電や風力発電、バイオマス発電に加え、水力発電の促進も考慮されている。水力発電はスイスの主な発電源であったにもかかわらず、コスト面で採算が取れず最近赤字が続いていた。また、エネルギー戦略2050には、建物や自動車、電気製品のエネルギー効果を高める政策も含まれている。
ところがこうした大きなエネルギー転換に初期から反対していた右派の国民党が、エネルギー戦略2050に反対し、レファレンダムを起こした。レファレンダムとは新法が連邦議会(国会)で承認されてから、100日以内に有権者5万人分の署名を集めれば国民投票を行うことができる「権利」だ。
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スイス人の76%が原発に反対、しかし脱原発はゆっくりと
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「スイス人の76%が原発に反対している」という調査結果が先月末、発表された。昨年11月の国民投票にかけられた「脱原発イニシアチブ」は、54%の反対で否決されたものの、原発そのものにはこれだけの人が反対しているというのだ。ところが、この発表があった日、原子力発電を支持する右派・国民党が5万人を超える署名を集め、段階的脱原発や再生可能エネルギーの促進を目指す「エネルギー戦略2050」に反対するレファレンダムを起こし、国民投票の実施を求めた。
「脱原発イニシアチブ」の投票結果の分析を政府から依頼されたのは、VOTOという調査機関だ。VOTOによれば、イニチアチブに反対した人の多くは、イニチアチブが主張していた「2029年に脱原発する」という「期限」に反対したのであって、脱原発そのものに反対したのではなかったという。
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国連機構、NGO、シンクタンクなどが数多く集まり、高い平均収入を誇ると同時に、200近い国籍の人々が共生するコスモポリタンの街、ジュネーブ。小規模ながらも一流の都市に必要な条件は全て揃っている。だが専門家は、ジュネーブは街の潜在能力を生かしきれていないと指摘する。
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