スマートメーターは採算が取れる
賢い電力計スマートメーターの全国的な導入は、国民経済的にみて採算が取れるという調査結果が発表された。スマートメーターの生産およびその設置には、2035年までに10億フラン(約820億円)かかると見積もられている。しかし一方で、節電などによって推計15億フランから25億フラン(約1230億円から2050億円)の経済的利益が生まれるという予測だ。
スマートメーターの導入は「エネルギー戦略2050」の一環だ。この導入により、最終消費者の電力消費を算出できるようになる。最終消費者のほとんどは一般家庭だ。またそればかりか、家電一つひとつの電力消費量を常時詳細に算出し、操作することも可能になる。
今回の調査は、インタビュー、試験的プロジェクトの評価、最新の文献などに基づいて行ういわゆる「インパクト調査(Impact Assessment)」。連邦エネルギー省エネルギー局(BFE/OFEN)の依頼で行われた。
スマートメーター導入のメリットは多様だ。電力会社は、各家庭に置かれている各電気機器のスイッチを消費量が増える時間帯にスマートメーターを通じて短時間切り、ピークを回避することができるようになる。そうなれば、ピーク時用の発電所や電力輸入は、一部不要となる。調査によると、電力網の負荷を制御できる可能性は大きいが、それによって国民経済が得るメリットは比較的小さい。
一方、消費者は、スマートメーターを使ってどの時間帯でも、あるいはどの季節でも、最も安価な電力を購入することができるようになる。
さらに、電力生産にかかる実費を元にした電気代、あるいは電力消費量とともに上がる電気代などの設定導入も可能になる。
情報を利用して節約
しかし、スマートメーターの最大のメリットは何よりも節電だ。電力消費に関する収集情報が各家庭に適切な形で伝達されれば、予測では長期的に2.7%の電力節約につながる。また、サービス業や手工業でも大幅な節電が期待される。
さらに、スマートメーターの導入で、競争が刺激されるという結果も出た。その理由の一つとして、消費者が利用電力会社を変えやすくなることが挙げられている。しかし、これには電力市場の自由化が前提となる。
また、機器の生産と設置、そしてそれに必要な中央インフラの整備だけでも新たな雇用が生まれるとみられており、全体的に経済が活発化すると予想されている。
加えて、環境破壊など負の外部効果で発生する外部費用も、2035年までに1億1700万フラン(約96億円)節約できるとの見込みだ。
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