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欧州で唯一 確定申告制度に固執するスイス

確定申告書を前に頭を抱える男性
確定申告書の記入は、毎年スイス人納税者の頭痛の種だ Keystone

スイスは今年から、サラリーマンの税金が給料から天引きされない欧州唯一の国になった。連邦議会では何度も改革が提案されてきたが、政府は源泉徴収税に切り替える気はないようだ。

スイス人納税者とC滞在許可を保持する外国人(長期滞在者)は、毎年確定申告書を提出しなければならない。スイスは連邦制を取り、納税者は連邦、州、基礎自治体(日本の市町村に該当)の3レベルにそれぞれ納税する。連邦税は州が連邦に代わって徴収する。

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スイスの住民が納める税金には、様々な種類がある。税率は各州で異なり、一般的に欧州の他の国々より低い。

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州税と自治体税は一般的に、1年の間に分割して納めることができる。分割払いの回数は州ごとに異なり、毎月払いや一括払いがある。会計年度の終わり(12月末)に、前年度の収入や資産に基づいて税務署が最終的な納税額を確定し、それまでに納められた税で過不足がないかを納税者に通告する。

C滞在許可証以外の外国人の所得は、源泉徴収税の対象となる。雇用主が毎月の給料から直接税金を差し引き、税務当局に納める。

例外として、フランスからの越境労働者が多いフランス語圏の州の多く(ジュネーブ州は該当しない)では、フランスで税金を申告・納税するため、源泉徴収の対象外だ。フランスの州が納税額の一部を、越境労働者が働くスイスの州や自治体に移転する。

改革提案は却下

先進国の大半は20世紀の間にいわゆる申告税制から源泉徴収税制へと移り変わった。欧州ではドイツが先駆けて1925年に改革に踏み切った。

源泉徴収税を導入していない国はフランスとスイスだけだった。だがフランスが2019年1月1日、大議論の末に源泉徴収に切り替えた。スイスの労働者は欧州で唯一、所得税で収入が減らないように自分でやりくりしなければならない欧州唯一の労働者になった。

この数年、スイス連邦議会でも、源泉徴収税の導入を求める動議や議員立法が提出された。直近では昨年秋にも提案されたが、連邦政府が再び却下したため、議会で可決される見込みも薄い。

連邦内閣は、源泉徴収税は企業や納税者、税務署にとって事務負担が重くなりすぎると指摘する。「特に職場と住居が同じ州にない場合」はなおさらだ。

スイスの会計事務所イントゥルムが昨年発表した調査では、スイスは欧州諸国のうちギリシャに次いで滞納率が高いことが分かった。特に税金の支払いが遅れるケースが多い。

源泉徴収税制の支持者は、給料からの天引き・控除になれば滞納問題の大半を解決できるとみる。納税者は、最終的な納税額がどうなるかを心配することなく、自分が自由に使える金額を知ることができる。また財政上の義務を果たそうとする納税者にとってメリットが大きく、州や自治体の税収不足が減る利点もあると主張する。

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(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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