地元メディアの報道によれば、2010年以降、スイスのカトリック教会で起きたセクハラ事件の数は、報告されたものだけで250件にものぼる。このなかには、成人に対するものが相当数含まれることが明らかになった。
このコンテンツが公開されたのは、
このニュースが最初に報じられたのは、3日、地方ラジオ局ローヌFMの番組内でのことだ。そして、その週の日曜紙数紙で再び取り上げられた。
スイス司教会議外部リンクが発表した統計を追跡調査したフランス語圏の日曜紙ル・マタン・ディマンシュ外部リンクによれば、セクハラ事件250件のうち、10年以降に起きたものは約10%で、残りは1950年にまで遡るものもある。
>>スイスのセクハラ問題についてもっと読む
同紙は、143件が青少年に対するものである一方、88件は成人に対するものだと報じた。成人に対する事件には、肉体への不適切な接触から強姦に至るまで多岐にわたる疑いが含まれる。被害者数は、女性の数が男性の数を若干上回った。
また、同紙は、いくつかの実例を挙げた。あるケースでは、困難に直面する女性が癒しを求めて司祭を訪ねたところ、性的暴行を受け、その結果妊娠した。司祭はその女性に対し中絶するよう説得したという。
少なくとも100件はこのように深刻なケースだった。
同紙によれば、その他60件ほどのケースは「グレイゾーン」と言えるものだ。例えば、司祭が教会管理人に背後から近づき、背中をなでながら、「今晩は何をしているのか」などと不適切な動作やほのめかしを行うといったケースだ。
成人に対する事件については、教会で内部調査が行われる。教会が組織として警察や裁判所に通報するわけではなく、通報するか否かは被害者に委ねられている。
その一方で、2014年以降、事件が未成年に対する虐待と判明した場合には、教区は警察に直ちに通報しなければならないという規則を司教会議は定めている。
起訴するには古すぎないという意味の「近年」、未成年に対する事件は起きていないとスイスのカトリック教会は主張している。
おすすめの記事
女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・バーゼル大と英ダラム大が小学生75万人のデータを用いて行った調査で、子どもの頃、女子生徒の方が多いクラスを出た女性はより多くの収入を得る傾向があることが分かった。
もっと読む 女子優位のクラスを出た女性は高収入の傾向 スイス調査
おすすめの記事
11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスで、季節外れの暖かさが続いている。スイスで最も標高の高い地点にあるユングフラウヨッホでは観測史上最高を記録した。
もっと読む 11月のスイスアルプス、季節外れの暖かさ
おすすめの記事
スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで肉食をやめる人が増えている。植物性食品を推進するスイスベジ協会(Swissveg)は30日、スイスのベジタリアンやビーガンの数は過去5年間で約40%増加したと発表した。
もっと読む スイスでベジタリアン・ビーガン増加 若者・高学歴に多く
おすすめの記事
スイスを縦断するツルが過去最多
このコンテンツが公開されたのは、
スイス鳥類研究所によると、スイスでは今季、はやくも過去最多のツルが観察されている。なかには約800羽の大規模な群れもみられた。
もっと読む スイスを縦断するツルが過去最多
おすすめの記事
「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州ルガーノの州刑事裁判所は23日、利己的な動機で他人の自殺を手助けしたとして、自殺教唆・ほう助の罪に問われた同州の元看護師の女(67)に条件付き罰金刑を言い渡した。
もっと読む 「金銭目的」で自殺ほう助 スイスの裁判所が元看護師に有罪判決
おすすめの記事
スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの医療機関団体は22日、外来患者向けの新料金体系を承認したと発表した。エリザベット・ボーム・シュナイダー内務相は積年の議論に決着がついたことを歓迎した。
もっと読む スイス、外来診療の新料金体系で合意 定額制を一部導入
おすすめの記事
スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)安全保障委員会は、スイス製武器の再輸出の解禁案をまとめた。武器の輸出から5年経過を条件に、ウクライナなど紛争中の第三国への再輸出を認める内容だ。ただ主要政党の間では賛否が割れている。
もっと読む スイス製武器の再輸出解禁案まとまる 主要政党の賛否まとまらず
おすすめの記事
スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ大学公共・社会研究センターが毎年まとめる「スイスメディア品質年鑑」2024年度版で、スイスでニュースを平均以下の量しか消費しない人の割合は46%と、過去最高を更新したことがわかった。スイスメディア全体の質は引き続き「良好」と評価された。
もっと読む スイスで「ニュース離れ」さらに深刻に メディア品質年鑑
おすすめの記事
アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
このコンテンツが公開されたのは、
アイスホッケーのスイス代表チームは、ユニフォームにスイスの国旗である白十字の紋章を付けることができなくなった。スイスアイスホッケー連盟(SIHF)が連邦行政裁判所に提出した申請が遅すぎたのが原因だ。
もっと読む アイスホッケーのスイス代表、国旗の白十字使用認められず
おすすめの記事
スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は16日、ウクライナに侵攻するロシアへの追加制裁を発表した。ロシアの産業・軍事・技術に必要な製品の輸出規制が強化されるほか、政党、NGO団体、報道機関がロシア政府からの寄付を受け取ることが禁止される。
もっと読む スイス、ロシアに追加制裁 輸出規制を強化
続きを読む
おすすめの記事
スイスの国会議員が議員辞職へ ストーカー行為、セクハラ問題で批判
このコンテンツが公開されたのは、
キリスト教民主党(CVP/PDC)の副党首で国民議会議員のヤニク・ビュッテ氏(40)が元恋人の女性に対して付きまとい行為をしたとして警察に摘発された。党は30日、同氏の副党首職を停職処分とした。
もっと読む スイスの国会議員が議員辞職へ ストーカー行為、セクハラ問題で批判
おすすめの記事
セクハラにあったらどうするか
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの職場でセクハラにあったらどうすればいいだろうか?どのような現実的支援や法的手段が存在し、どの程度の効果があるのだろう?スイスインフォは、職場のセクハラに関する社員の権利と会社側の責任について、キーポイントをまとめた。
もっと読む セクハラにあったらどうするか
おすすめの記事
スイスで牧師の給与が高いのはなぜ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・チューリヒ州では高所得者に位置づけられているプロテスタント教会の牧師だが、その給与は一体どれくらいなのか?
チューリヒ州経済労働局が先月公開した給与に関する年次報告書では、パン職人から政治家まで、あらゆる職種の初任給を知ることができる。
同報告書によるとチューリヒ州の牧師の月給は9084フラン(約101万7800円)で、スイス軍の将校、土木技師、ジャーナリストよりも高い。しかし給与が高い一方で、牧師の1週間の労働時間は48時間と、一般的なフルタイム労働者の週40時間労働よりも8時間多く働いている。また、カトリック教会の司教の場合、週の労働時間は42時間で月収は8595フラン。教区民を訪問したり式典に出向いたりすることが多い聖職者の労働時間は、通常よりも長い傾向にある。
もっと読む スイスで牧師の給与が高いのはなぜ?
おすすめの記事
連邦工科大の教授がアカハラ?「教授の圧力」に疑問符
このコンテンツが公開されたのは、
連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)の女性教授からアカデミック・ハラスメントを受けていたとして、複数の学生が大学側に申し出ていたことが分かった。ドイツ語圏の日刊紙NZZの日曜版が22日、報じた。
もっと読む 連邦工科大の教授がアカハラ?「教授の圧力」に疑問符
おすすめの記事
性的虐待被害者 カトリック教会の対応を批判
このコンテンツが公開されたのは、
「かつて性的虐待で問責されたスイスの聖職者たちは、今何処にいるのでしょう」。そう問いかけるのはスキーガイドであり、ヴァレー州ブラモワ村で畜産業を営むジェラルド・ファルツィオーニさんだ。 ファルツィオーニさん自身、5歳…
もっと読む 性的虐待被害者 カトリック教会の対応を批判
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。