スイスとオーストリアは、雪崩リスクマネジメントへの貢献が評価され、ユネスコ無形文化遺産として登録されることが決まった。無形文化遺産は有名な伝統行事、芸術形態や習慣などを対象とする。
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スイスとオーストリアで何世代にも渡り絶えず更新され、継承されてきた雪崩リスクマネジメント外部リンクの知識、経験、戦略はこれまでも世界文化遺産に値するとして認識されていたが、パリが拠点の国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は29日、正式にユネスコ世界無形文化財に認定し、「人類の無形文化遺産」のリスト外部リンクに追加した。
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連邦司法省は声明外部リンクのなかで、「アルプス地域の雪崩のリスク管理には、広範な知識体系が必要」とし、「有名なセントバーナードなどの救助犬の訓練に始まり、積雪の分析、雪崩の記録、家屋の保護、山岳ガイドの訓練、ノウハウの伝授など、アルプスに住む人々は数世紀にわたって雪崩に対処する特別な戦略を構築した」と述べている。
登録の申請は2007年に連邦文化庁、連邦雪・雪崩研究所(SLF)外部リンク、ヴァレー(ヴァリス)州、その他複数のオーストリアの団体や機関が共同で行った。
長い歴史
スイスが他と異なる点は、リスクマネジメントが何世紀前にもさかのぼり、そのノウハウの多くが記録として書き記されていること、そして技術のレベルが洗練されていることだ。
1945年以来、連邦雪・雪崩研究所は毎日2回、スイスの雪崩に関する速報外部リンクを作成するよう義務付けられている。この速報は訓練を受けた200人の専門家がアルプスに点在する170カ所の自動計測ステーションのデータ用いて作成する。こういった観測用の設備は他国にもあるが、スイスではネットワークの密度や、訓練と専門知識のレベルの高さが抜きん出ているという。
連邦雪・雪崩研究所の2016年の報告によると、管理区域(道路、鉄道、地域社会、安全なスキー場)で雪崩の被害に遭う人の数は過去80年間で大幅に減少したが、ゲレンデから離れた場所でスキーを楽しむ人の増加もあり、開けた地域での被害者数は横ばいだ。スイスのアルプス地区とジュラ地区では1936年以来、約2千人が命を落としている。
管理区域では、1940年末からの平均犠牲者数はわずかながら減少。2010年代は、年間平均1人未満の割合。スイスでは大型の雪崩が毎年平均して23回発生している。
スイスがユネスコの「無形文化遺産」を授与されたのは、スイス最大のカーニバルであるバーゼルのファスナハトと、ヴヴェイのフェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り)に続いて3度目だ。他にも、スイスの時計製作のノウハウ、グラフィックデザインとタイポグラフィー、山の牧草地の季節、ヨーデルと聖週間にメンドリージオで行われる行進もユネスコに登録申請をしている。
スイスには現在、ラヴォー地区の葡萄畑、ザンクト・ガレン修道院、ベルンの旧市街など9件の文化遺産と3件の自然遺産を合わせて12件の世界遺産外部リンクがある。
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