スイスの視点を10言語で

スイスで体験した「がっかり」10選

うさぎの耳を付けてベンチに座る観光客女性2人
チューリヒのストリートパレードを楽しむ人ばかりではなさそう… Keystone

「スイスはほぼパーフェクト!」。スイスインフォの読者からよく聞かれる声だ。だが、レストランでまだ半分くらい残っているチーズフォンデュの鍋が下げられるのを目にするたびに、密かに疑問に思っていたことがある。スイスを訪れた人ががっかりしたり、「え?こんなもの?」と思ったりしたことはどのくらいあるのだろうか?あるとしたら、一体何に―?

そこでスイスインフォの読者に疑問をぶつけてみた。あなたが選ぶスイスの「モナリザ」は何か、と。レオナルド・ダビンチのかの有名な絵画を見た人なら、この質問の意図はすぐ分かるかもしれない。ダビンチは確かに優れた画家で、モナリザは素晴らしい作品に違いないが、実際に見ると拍子抜けするほど小さいのだ。もしかすると、スマホを構える人たちの群れを押し分けてたどり着くほどの価値はないかも、と思った人もいるのではないだろうか?スイスにもそんな「モナリザ」があるかもしれない。スイスで実際に見て、体験してがっかりした、あなたの「スイスのモナリザ」は何だろう?

ラインファル(ラインの滝)。そこまで美しくもない。『ヨーロッパ最大級』というから、もっとすごいものを期待していたのに」(ソフィア・ジェオさん)

ラインの滝はスイスで最も訪問者の多い観光地の一つだが、このコメントに同調する読者も多かった。ラインの滝よりもラウターブルンネン谷にあるトリュンメルバッハの滝を勧める読者も何人かいた。ジェン・シリングさんによると、「ライン滝より1万パーセントもすごい」らしい。

ラインの滝 
ラインの滝  Keystone

もちろん、同じ場所を訪れて失望する人もいれば、感動する人もいる。筆者は実際にモナリザを見たことはないが、大きさに関連して言うなら、有名な「スイス発祥の地」を訪れてがっかりした経験があるからよくわかる。その「リュトリの丘」は、びっくりするほど小さかったからだ。確かにルツェルン湖(フィアヴァルトシュテッテ湖)を見下ろすロケーションは素晴らしい。ボートに乗ってたどり着くのも楽しい。でも筆者はその丘で、次のコメントに通じるような感想すら抱いた。

レマン湖の大噴水『ジェドー』。文字通り、水を噴き出すただの消火栓。これを見て時間を無駄にするより山々を見るべき」(ジュールさん)

リュトリの丘もそうだが、湖の反対側にあるウィリアム・テルの記念チャペルも全く観光地化されていない。山小屋風レストランがある以外は、土産屋もなければ観光客向けの施設もない。あるのは素晴らしい風景と溢れるほどの象徴的意義だけだ。

結局、スイスに来る人が魅了されるのは、自然の美しさということなのだろう。そのため、スイスに来て博物館や美術館で人混みにもみくちゃになる心配はほぼない。だが例外もあるようだ。

「山上湖のブラウゼー。観光客が多すぎて素晴らしい景色を楽しめない」(ブランカ・レグウスカさん)

青く輝く、澄み切った美しい水をたたえるベルン州のブラウゼーだが、このようなブランカさんの意見に同調する人は複数いた。

ブラウゼー
ブラウゼー Keystone

スイスの電車にもよく称賛の声が集まる。だが、インターラーケンのような利用客の多い駅では乗り換えに苦労したという意見もある。

「ベルナー・オーバーラント地方に行ったとき、電車の作りやシステムが体の不自由な人に対応していないことに驚いた。乗り換え時間も短かすぎて、ホーム間の移動に十分な時間がなかった。でも人々はとても礼儀正しくて親切だった。特にケーブルカーのスタッフたち!」(クリスティナ・ツィマーマンさん)

概して、店のスタッフもとても感じがいいという評判だ。少なくとも請求書よりは。

スーパーで100フラン払うときは毎回、買い物かごの中を見て『たったこれだけ?』と思ってしまうって言ってもいい?」(シイラ・イーヴェルさん)

そう感じるのはシイラさんだけではなさそうだ。チューリヒのストリートパレードに関するコメントでは、

「(ストリートパレードが)チューリヒの町を汚すことなくビジネスやお金を呼び込むのなら、それは喜ぶべきことで、翌日の町は完ぺきに清掃されているのも事実。だけど、ビールの宣伝トラックの上で、半裸やド派手な衣装の酔った大勢の人がお祭り騒ぎをして、道が通行止めになったり、テレビから一日中パレードの映像が流れるたりするのが、いったいどうしてそんなにいいことなんだ?まるでタイムズスクエアの大晦日カウントダウンのスイス版。ナンセンス!」(ジャンカルロ・マルキオディさん)

「ナンセンス!」という声の他には、「いまいち…」という声も。 

「大抵のチーズフォンデュはいまいち。それよりラクレットのほうが好み」(ステイシー・ストロイリさん)

中国の習近平国家主席と夫人
2017年、中国の習近平国家主席がチーズフォンデュを堪能する一方で、ご夫人はそれほどでもなさそう… Keystone

「フォンデュ。溶けたチーズに硬くなったパンだよね?一体どうしてこのために、みんなこぞってアルプスに行くのか。いや、待てよ、もっと良いのは(好きかどうかは人によるけど)、彼らはフォンデュにニンニクやキルシュを入れたりもする。うえっ。僕がフォンデュ好きじゃないのは確かだけど」(ポール・ダグラス・ロヴェルさん)

このコメントには大きな反響があった。パーフェクトなチーズフォンデュや、フォンデュに合う飲み物などに関するアドバイスも殺到した。だが感情的な意見もちらほら。

「スイスのフォンデュ、つまり溶けたチーズにディップしたパン。それだけ。『スイス・キュイジーヌ(スイス料理)』と呼べるものが存在しないのも無理ないね」(ケセラセラさん)

かなり手厳しい。スイスの食べ物へのコメントはさらに続く。

「私の『スイスのモナリザ』はソーセージのセルベラ(Cervelat)とブラートヴルスト(Bratwurst)。どうしてこれがスイスのBBQの主役なの?ごくごく普通だし味気もない(…)。本当においしくないけど、税関で1キロ以上の肉を持ち込めないからスイス人はきっとちゃんとしたグリルソーセージにありつけないのね😊。でもこれが私の唯一の不満だから、スイスは素晴らしい国だということね」(ウーヴェ・ツザメンゲシュトッセンさん)

「チョコレートの国スイスに行くとなると、当然楽しみなのはホットチョコレート。なのに店で出てくるのはホットミルクとパウダーチョコレートだから、ひどくがっかりする。スイスのホットチョコレートのチョコレートはどこにあるんだ???!」(ジョナサン・マッドリーさん)

多くの人がこれに同意していたし、どこに行けば美味しい本格的なホットチョコレートが飲めるかをアドバイスする人も多かった。おすすめはチューリヒのシュプリングリや、スイス西部のグリュイエール近郊にあるチョコレート工場のメゾン・カイエなどだった。

ちなみにスイスではショコラトリーでも公共の建物内でも、喫煙は禁止されている。スイスの喫煙者数は減少しているものの、駅のホームやレストランのテラスなどでは喫煙できる。そのためにスイスの旅が台無しになったという人もいた。

公共の場での喫煙が多すぎる。喫煙者はどうして新鮮な空気を汚し、臭くて汚い不健康な空気を他人に吸わせるのだろう?」(ヤ・シュアン・シューさん)

吸殻がいっぱいの灰皿
スイスの路上の灰皿には吸殻がいっぱい… Keystone

喫煙には読者から最も多く不満の声が上がっていた。デモクラシーの国では、人は喫煙する権利があると主張する人がいる一方で、多くの読者は腹立たしげに、より厳しい対策を求めていた。

「全く同感。僕は肺が悪いから、公共の場での喫煙には非常に不愉快な思いをしている。煙は耐え難いし、目の前で吸殻をピッと投げ捨てたりする失礼な喫煙者もいる😡」(レト・ガッサーさん)

怒る人もいれば哲学的な意見を述べる人も。

「『問題』の本質は、場所やもの(つまり『モナリザ』)ではなく、そこに特別な何かを期待したり宣伝や広告をうのみにしている『あなた自身』だ。それは全てにおいて同じこと。責任は自分自身にある」(ジェイク・マリノさん)

そう、それが旅というものだ。休暇をどれだけ楽しめるかは、往々にして、訪れる場所よりも自分のものの見方や考え方に左右される。

「僕はスイス人で、ずっとチューリヒに住んでいて、海外もスイスも旅したことがあるけれど、自分の国の景色を見てがっかりした記憶はない。たぶん、そこに何を期待すべきかを知っているからだと思う」(ペーター・エグロフさん)

反対に、カルロスさんのようにスイスに大満足した人もいる。

「がっかりしたかって?正反対だよ。想像していたより全てがクリーンで、新鮮で、おいしくて、効率的で、おしゃれだった」(カルロス・アギュラーさん)

スイスで想像よりも良かった場所や嬉しい驚きだった体験に関してはまた、次回…。

スイスであなたが気に入った場所や体験はありますか?その理由は?嬉しい驚きはありましたか?感動したり、期待以上だった観光名所や景色は?あなたの体験をぜひコメントでお寄せ下さい!次回の記事の参考にさせていただきます。

スイスの人気観光地

※スイスの有料観光地人気ベスト10(2017年)と訪問者数

1.      シルトホルン・ケーブルカー 3,216,909人

2.      ベルンのデールヘルツリ動物公園(有料)とベーレンパルク(熊公園/無料)3,054,820 人
3.      ピラトゥス鉄道 2,847,597人
4.      ルツェルン湖(フィアヴァルトシュテッテ湖)クルーズ 2,676,060人
5.      レマン湖クルーズ 2,376,317人 
6.      ゴルナーグラート鉄道 1,754,000人 
7.      ラインの滝 1,500,000人
8.      チューリヒ動物園 1,209,198人
9.      ティトリス・エンゲルベルク鉄道 1,180,672 人
10.    ユングフラウヨッホ 1,041,500人

(出典:スイス政府観光局)  

おすすめの記事
チューリヒのストリート・パレードで通りを歩く参加者と警察官

おすすめの記事

スイスに住む外国人、安全面は評価するも地元民に不満

このコンテンツが公開されたのは、 「世界最大の外国人ネットワーク」と称するインターネーションズが6日、外国人が住みたい国の人気ランキング「エクスパット・インサイダー」2017年版を発表した。外国人にとっての天国とは、安全レベルはスイス並み、レジャーの選択肢は南アフリカ並み、教師はフィンランド人、隣人はメキシコ人。逆に外国人にとっての地獄とは、安全レベルは南アフリカ並み、レジャーの選択肢はフィンランド並み、教師はメキシコ人、隣人はスイス人だ。

もっと読む スイスに住む外国人、安全面は評価するも地元民に不満

(英語からの翻訳・由比かおり)

人気の記事

世界の読者と意見交換

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部