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スイスにまつわる噂&都市伝説をファクトチェック

えさを食べるモルモット
モルモットの場合、スイスで「ひとりメシ」は違法です Keystone

モルモットは1匹で飼っちゃ駄目?スイス人は犬を食べる?夜の10時以降は家のトイレを使えない? ― スイスにまつわる噂や都市伝説で、読者から寄せられた「これってホント?」にスイスインフォが答えます。

Q:スイスではモルモットを1匹だけ単独で購入できないというのは本当ですか?聞くところによれば、モルモットがさみしい思いをしないように、少なくとも2匹同時に購入しなければならないとか。この噂が本当なら、メチャかわ。(投稿者:Vanessa Bradley)

スイスではたくさんのことについて、それをやるかどうかは個人にゆだねられていますが、それらすべてが「メチャ」合法かどうかは別です。まずヴァネッサさんの質問にお答えすると、モルモットを1匹だけ買うことはできます。袋詰めで売られているわけではありませんからね。ただ、連邦内務省食品安全・獣医局(BLV/OSAV)外部リンクによると「モルモットは非常に社会的な動物であることから、単独で飼育されるべきではない」と決められています。

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ペットの飼育

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの家庭で最もよく飼われているのは猫で、140万匹がスイスのペット界を牛耳っている。猫を飼うのに特別な制限や規制はない。猫の飼い主にはペットの税金を払う義務はない。

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2008年9月施行された182ページに及ぶスイスの動物保護条例外部リンクには、何百種類に及ぶ動物の飼い方が記載されています。中には、家畜に眼鏡やコンタクトレンズの着用を強制することは許されない(20条 c.)というものもあるんですよ。

ちなみに「最低2匹で構成されるグループで飼育しなければならない」と決められている種は、(哺乳類だと)モルモット、小型ネズミ、スナネズミ、大型ネズミ、デグー、チンチラ、(鳥類は)ウズラ、コンゴウインコ、オウム、インコ、カナリア、カエデチョウ、そしてもちろん、オスとメスがいつも一緒のボタンインコ(いわゆるラブバードですね)。飼育用ウサギは「生後8週間は飼育が禁止」されていて、その後は「可能な限り」集団で飼育すべきとされています。それができない時は、他のウサギの声が聞こえるか、匂いがわかる場所で飼育しなければいけません。

獣医局のサイト(独/仏/伊語)には、モルモットや他のペットの世話の仕方外部リンクについて、アドバイスがたくさん掲載されています。モルモットに関するアドバイスには例えば、「飼育するモルモットのグループ構成は、2~3匹のメスと1匹の去勢したオスで構成するのが望ましい」などがありました。女性だけのグループだと、いさかいが起こりやすいというのはどの世界でも同じようですね。

それではハムスターはどうなのでしょう?読者のエレナ・メイさんは「スイスでハムスターを1匹だけ飼うのは本当に違法なのでしょうか」という質問を寄せてくれましたが、なんと―「ゴールデンハムスターは単独行動をする外部リンクため、1匹で飼うべき」なのだそうです。ただ獣医局によると、キャンベルハムスターとチャイニーズハムスターは家族でも暮らせる種です。

これらの決まりについては州の獣医療サービスが動物保護検査を実施します。違反者にはペナルティーが与えられます。

Q:スイスのアッペンツェル地方には、まだ犬食文化があるというのは本当ですか?(投稿者:Marcin Tkacz)

まず、スイス北東部の保守的な地域、アッペンツェル地方には犬を食べる文化があるのか?という疑問の答えはイエス。犬や猫の肉を食べることは、スイスでは合法です。スイス動物保護協会(STS/PSA)のフーバー会長が2013年にした発言によると、「スイスではおそらく100~200人がときどき犬や猫の肉を食べています」。そしてアッペンツェル地方があるスイス北東部は、それが最も盛んであると言えるでしょう。

ちなみに、人々が知らないうちに猫や犬の肉を食べているのかどうか、という問題も気になりますよね。遺失物管理局によると、毎年行方不明になるペット数は最大2万匹で、うち4分の3は猫だとか。

結局、アッペンツェル地方にはまだ、犬を食べる文化があるのか―?答えはおそらくイエス。ですが、とても稀です。

Q:夜の10時以降はトイレの水を流してはいけないというのは本当ですか?(投稿者:Bhargav Bhatt)

そう、これ。スイスの有名な都市伝説として必ず耳にしますよね。夜の10時以降は(下階の住人に迷惑になるので)立ったままおしっこをしちゃ駄目という、別バージョンもあります。どれも本当なのでしょうか?答えはノー。

「たとえおしっこやトイレの水を流す音で眠りを阻害されたり、騒音だと感じたりしても、同じ建物で暮らす住人はそれを受け入れなければいけません」。スイステナント協会外部リンクの法律アドバイザー、ルエディ・シュペントリンさんは、無料日刊紙20 Min.で2017年に掲載された相談コラム外部リンクでそう答えています。

シュペントリンさんは過去に、近隣女性に「夜にトイレに行かないでほしい」と言っても良いかという問い合わせが、ある賃借人女性からあったと話し、「成功しないのは目に見えているので、やめておいた方が良いと言わざるをえなかった」そう。

例えば夜中に家具を動かして騒音を立てることは禁止されているため、周りの住人は苦情を言えますが、「よくよく聞いてみると、ただ単純に数回、椅子から立ち上がった時に音がうるさかっただけだったこともよくある」と、シュペントリンさんは話しています。

でも短時間にたてる騒音であれば良いという話ではありません。共同住宅で夜間に発して良い音の大原則は「部屋音量」。つまり「同じ部屋にいる人しか聞こえない音量」で会話したり音楽を聴いたりしなければならないということです。

ベランダなど屋外では「テーブルを挟んだ距離でしか聞こえない音量」となります。

騒音に関する苦情で多いのがピアノの音ですが、シュペントリンさんによると「1日に2~3時間程度、楽器を演奏することは全く問題ない」そう。「ただ、ドラムやトランペットのような大きな音が出る楽器は、賃貸部屋で演奏するべきではありません」。

ではセックス中に聞こえる音は?これは問題なし。「いわゆる情熱サウンドは生活音に属する」そうです。

Q:スイスの輸送用トンネルには爆発物が隠されていて、侵攻などの緊急事態が発生すると閉鎖されるらしいと聞いたのですが。(投稿者:Phil Miller)

19世紀初頭、スイスは国境線沿いと主な輸送ルートに、防衛戦略として爆発物を埋めていました。第二次世界大戦中はさらに大規模なかたちで行われ、冷戦下の1975年には侵略対策の一環として国家的に埋蔵事業が行われました。

ピーク時には約2千棟の建造物に爆発物が取り付けられ、防衛ネットワークが張られました。建造物は橋、トンネル、道路や滑走路など多岐にわたります。2001年、スイスアルプスを縦断する幹線道路「ゴッタルド道路トンネル」で火災が発生した時、道路下に数トンの爆薬が貯蔵されていたことが明らかになりました。

言うまでもありませんが、爆薬のトリニトロトルエン(TNT)が国のあらゆるところに散らばっていると、国民の健康と安全に問題が生じますよね。スイス軍は2014年11月、爆発物の山が未だにあらゆる場所に隠されていることを公式に認め、同月末までにこれらを除去すると発表しました。

ちなみにスイスインフォの問い合わせに対するスイス軍の答えはこうでした。「すべてのデバイスは武装解除されました。従ってどこにも爆発物はありません」

Q:ティチーノ州ルガーノのバス停の下に巨大な金の貯蔵庫があると聞いたのですが。(投稿者:Paul Alvarez)

これは初耳です。インターネットで探しても、そのような噂は見当たりませんでした。ポールさん、警察やスイスインフォに届け出たいことが何かあるんじゃないですか?一体どこでこの話を耳にしたのですか?

2019年にルガーノ・バスステーション・ゴールドラッシュが起きるのを未然に防ぐためにも、私はここに宣言します― これは真っ赤な嘘だと。

(英語からの翻訳・大野瑠衣子)

※この記事は特集「ファクトチェック」の新シリーズ第1回として、読者からの投稿をもとに構成しています。スイスやスイス在住者に関するあなたの「もっと詳しく知りたい」をこちらのフォーマットから教えてください。

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このコンテンツが公開されたのは、 スイスにまつわる噂や都市伝説で、読者から寄せられた「これってホント?」にスイスインフォが答えます。第2弾で扱うテーマは核シェルター、日曜日の騒音問題など多岐に渡ります。

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(英語からの翻訳・大野瑠衣子)

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