2月24日行われた最終選考での演奏後、指揮者のバルデュール・ブレニマン氏の紹介を受ける今堀拓也氏
© Benno Hunziker
世界の作曲家が新曲を競う第2回バーゼル作曲コンテスト(BCC)外部リンクで、現在日本を拠点に活動する今堀拓也氏による三管編成のオーケストラ作品「綺麗に咲く千の花とともにCon mille fiori che sbocciano così belli」が第3位を受賞した。
このコンテンツが公開されたのは、
BCCは多くの近代音楽作曲家を支援したバーゼル出身の作曲家、パウル・ザッハー(1906~99年)の遺志を継ぎ同名の財団が開催するコンテストで、2017年の初回に続き今回は2回目。出場者に年齢・国籍・居住地の制限はなく、作品は20分以内の新作であることが条件だ。ジュネーブ出身の作曲家、ミカエル・ジャレル氏が審査員長を務めた。
今回は95カ国450作品の応募の中から13作品が最終選考に残り、2月20~24日にバーゼル室内管弦楽団、バーゼルシンフォニー管弦楽団、バーゼルシンフォニエッタによって初演された。
今堀氏は2012~14年のジュネーブを始めローマやミラノ、ウィーンなど欧州で活動した後、昨年7月から日本で作編曲活動をしている。BBCに出品した動機について、「審査員に様々な作風を持ち国際的に名のある作曲家が揃い、また大規模な三管編成オーケストラ作品を応募できるのがめったにない大きなチャンスと思った」とスイスインフォの取材に答えた。
受賞作品「綺麗に咲く千の花」では、「オーケストラの音色の重ね合わせを用いて多彩な花の色を表現した」と話す。植物それぞれの特徴ある葉や花びら、その背景にあるフィボナッチ数やフラクタル関数などの数学構造にも作曲のヒントを得た。もともと「花や植物の観察が好き」で、日本やスイスアルプス、北イタリア、オーストリア・チロルの山々の高山植物や、草むらや川べりに咲く花を楽しんで過ごしたという。
受賞に際して今堀氏は「名誉な賞をいただけて大変光栄に思う。予選の後、本選通過者はもう一度演奏してもらえたということも、普通の作曲コンクールではなかなかあり得ない貴重な機会で、嬉しかった」と喜びを語った。
受賞作品はこちら外部リンクで視聴できる。
今堀拓也氏プロフィール(ホームページ外部リンクより)
1978年横浜生まれ。2001年玉川大学文学部芸術学科卒業、03年パリ・エコール・ノルマル・アルフレッド・コルトー音楽院高等ディプロム修了、05~06年フランス国立音響音楽研究所IRCAM作曲研修課程修了、14年スイス・ジュネーヴ州立高等音楽院修士課程作曲専攻修了。17年イタリア国立ローマ・アカデミア・サンタチェチーリア研究科課程作曲専攻を満点および賞賛付きの最高位評価で修了し、ミラノ市立クラウディオ・アバド音楽学校指揮予備科修了。18年7月日本に帰国し活動中。土居克行、三界正実、平義久、ジャン=リュック・エルヴェ、フィリップ・ルルー、ミカエル・ジャレル、ルイス・ナオン、イヴァン・フェデーレに作曲を師事、ローラン・ゲイ、杉山洋一に指揮を師事。
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
おすすめの記事
ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス小売大手のミグロ(Migros)は14日、アッペンツェル・アウサーローデン準州ヘリザウにある1店舗を年中無休化すると発表した。
もっと読む ミグロ、スイス初の年中無休スーパーを開店へ
おすすめの記事
ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
このコンテンツが公開されたのは、
2025年大阪・関西万博のスイス館が、13日の開幕日に開館した。没入感のある展示空間でスイスの多様・卓越性を紹介し、150万人以上の来館者を見込む。
もっと読む ハイジのスイス館、150万人以上の来館者見込む 大阪・関西万博
おすすめの記事
スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、米国の追加関税について、ドナルド・トランプ米大統領と電話会談した。
もっと読む スイス大統領、関税でトランプ氏と電話会談
おすすめの記事
【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
このコンテンツが公開されたのは、
米国の関税措置をめぐり、スイスのギー・パルムラン経済相は7日、米通商代表のジェミソン・グリア氏とビデオ会議による最初の協議を行った。
もっと読む 【トランプ関税】スイス経済相が米通商代表と初協議
続きを読む
おすすめの記事
スイス・ロマンド管弦楽団 創立100周年
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のジュネーブを拠点に活動するスイス・ロマンド管弦楽団が、今年で創立100周年を迎える。創設者のエルネスト・アンセルメは卓越した指揮者であり、著名な作曲家たちとも深い親交があったことから、楽団は国際的にも名を知られていた。偉大な指揮者アンセルメの残した遺産と後継者たちを、スイス公共放送RTSの映像で振り返る。
もっと読む スイス・ロマンド管弦楽団 創立100周年
おすすめの記事
アルプスのヨーデルを高等教育で 新たな試みに賛否両論
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアルプスの歌唱法ヨーデルは、牧童が家畜を呼び寄せるためや、違う山で働く仲間と連絡を取るための手段として生まれ、今日まで進化してきた。スイスでは、ヨーデルクラブに入会するまでに、家庭で歌い方を習っているのが一般的だ。今年、ルツェルンの大学はその一歩先を行き、学位を取得できるヨーデル専攻コースを新設した。
もっと読む アルプスのヨーデルを高等教育で 新たな試みに賛否両論
おすすめの記事
ジャズが音楽以上の意味を持つ場所
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒ国立博物館で、モントルー・ジャズ・フェスティバルの開催50周年を記念した展覧会が始まった。「モントルー―1967年以降のジャズ」と題し、祭典の創始者、クロード・ノブズ氏(1936~2013年)に焦点を当てた。
もっと読む ジャズが音楽以上の意味を持つ場所
おすすめの記事
「耳が不自由でも音楽にハマってます」 聴覚障害者の場合
このコンテンツが公開されたのは、
ファビアンさん(33歳)は生まれつき耳が聞こえないが、テクノが大好きだ。音は聞こえなくてもリズムを身体で感じ、健常者と同じように音楽を楽しむ。健常者との類似点はそれだけではない。手話の世界にも方言があり、スイスの地域ごとに手話言語が異なると話す。
もっと読む 「耳が不自由でも音楽にハマってます」 聴覚障害者の場合
おすすめの記事
クラシック愛好家、楽団の「仮住まい」に不服 定期会員2割退会
このコンテンツが公開されたのは、
世界トップクラスのチューリヒ・トーンハレ管弦楽団が本拠とするコンサートホール「チューリヒ・トーンハレ」が改装中だ。このため団員は「仮住まい」に追いやられ、管弦楽団の定期会員の2割が退会した。
もっと読む クラシック愛好家、楽団の「仮住まい」に不服 定期会員2割退会
おすすめの記事
よみがえるモーリス・ベジャールの「魔笛」
このコンテンツが公開されたのは、
モーリス・ベジャールの逝去から10年。今、彼の作品がローザンヌでよみがえった。自身のダンサー人生をベジャールと共に過ごした、ベジャール・バレエ・ローザンヌの芸術監督ジル・ロマン氏は、モーツァルトのオペラ「魔笛」の台本と…
もっと読む よみがえるモーリス・ベジャールの「魔笛」
おすすめの記事
国連オーケストラ、美しい音楽を奏でる人道支援活動
このコンテンツが公開されたのは、
昼間は世界の結核撲滅のために世界保健機関(WHO)で活動し、夜はオーケストラでチェロを演奏 ― そんな二つの顔を持つ医師がいる。彼は、国連の職員などで結成する国連オーケストラの一員だ。
クリスチアン・リーンハルト医師がWHOの伝染病学者としてインド、エチオピア、ベトナム、そのほかの結核リスクの高い地域に行くときは、チェロを持参することはない。
だが、新しい治療法を試すハードなフィールドワークを終えて夕方ホテルに戻れば、ノートパソコンを開いてイヤホンをつけ、楽譜をめくりながらオーケストラの楽曲を聞くこともある。国連オーケストラの団員であるリーンハルトさんの、次のコンサートに備えた練習のやり方だ。
もっと読む 国連オーケストラ、美しい音楽を奏でる人道支援活動
おすすめの記事
スイス人と日本人デュオ、スイスの名曲をカバー
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで名の知れた音楽家マニ・マッターの生誕80年を記念して先月2日、スイスで活躍する若手アーティストたちによる、マッターの名曲カバー・アルバムが発売された。その中に収められた20曲のうちの1曲は、スイス人と日本人エレクトロ・ポップ・デュオ「ティム&プーマミミ(Tim & Puma Mimi)」が日本語でカバーしている。その2人に、初の日本版マッターが誕生するまでのストーリーを聞いた。
今回発売されたマニ・マッターの名曲が収められたカバー・アルバム「Und so blybt no sys Lied(彼の曲はこうしてまだ残っている)」に収録された20曲の中の「Ds Lotti schilet (Yorime no Lotti)」を歌うのは、チューリヒを拠点にヨーロッパ各地で活躍するエレクトロ・ポップ・デュオのティム&プーマミミ。スイス人のティムさんがサウンドを担当し、日本人でボーカルのプーマミミさんが歌うこの曲は、アルバムの中で唯一、外国語でカバーされた曲だ。
もっと読む スイス人と日本人デュオ、スイスの名曲をカバー
おすすめの記事
スイスのインディーズバンドYOKKO 音楽シーン席巻
このコンテンツが公開されたのは、
「Guete Abe Züri!(こんばんは、チューリヒ!)」。8日夜、チューリヒ市内のクラブで開かれたYOKKOのライブ。ボーカルのアディ(27歳)の一声で1曲目の演奏が始まると、詰め掛けた約400人のファンからひとき…
もっと読む スイスのインディーズバンドYOKKO 音楽シーン席巻
おすすめの記事
スイス人ラッパーGREIS、バイリンガル賞を受賞
このコンテンツが公開されたのは、
二言語・多文化の相互理解と共生に貢献した人物に贈られる「バイリンガル賞」の授与式が1日、ビール市で行われ、スイス人ラッパーのGREISが受賞した。GREISはスイスのフランス語圏に生まれ、数年前からドイツ語圏で活動。音楽活動では敢えてスイスドイツ語を前面に押し出している。
もっと読む スイス人ラッパーGREIS、バイリンガル賞を受賞
おすすめの記事
スイスの奇才ドラマー ジョジョ・メイヤー、音楽賞にノミネート
このコンテンツが公開されたのは、
独創的なサウンドで音楽シーンの最先端を追い求めるチューリヒ出身のドラマーで、日本にもファンが多いジョジョ・メイヤー(54)が、国内で最も優れたミュージシャンに贈られるスイス・ミュージック・グランプリ2017にノミネートされた。
もっと読む スイスの奇才ドラマー ジョジョ・メイヤー、音楽賞にノミネート
おすすめの記事
スイス音楽配信サイト
このコンテンツが公開されたのは、
音楽ポータルサイトMx3外部リンク(英語/その他)はスイスのプロミュージシャン、ファン、イベント主催者、音楽協会、ラジオ局の交流の場。最新リリース情報、バンド情報、クラブ情報のほか、国内ミュージックシーンの見どころを知り…
もっと読む スイス音楽配信サイト
おすすめの記事
音楽
このコンテンツが公開されたのは、
ヨーデルとスイスは切っても切れない関係だが、ヨーデルのボーカル技術は必ずしもスイス独自のものではない。そもそもヨーデルは、アルプスの放牧地で、遠く離れた場所にいる羊飼い同士がお互いを呼び合うコミュニケーション手段として発…
もっと読む 音楽
おすすめの記事
世界最小のコンサートホールでピアノの調べ堪能
このコンテンツが公開されたのは、
あなただけに贈るピアノのクラシックコンサート―。スイス東部ダボスで5日から始まった若手演奏家らのコンサートフェスティバルで、ピアニスト一人と聴衆一人だけの「世界最小のコンサートホール」がお目見えし、来場者が自分だけのピアノの調べに酔いしれた。同フェスティバルではオールナイトの演奏会など、新しいコンセプトの音楽が来場者を楽しませている。
もっと読む 世界最小のコンサートホールでピアノの調べ堪能
おすすめの記事
アルプスの心歌う日本のプロヨーデル歌手 北川桜さん
このコンテンツが公開されたのは、
アルプスで生まれた音楽ヨーデルを日本で広める歌い手がいる。声楽家で、日本では唯一のプロのヨーデル歌手、北川桜さんだ。本場で技術を磨き、日本中を回ってコンサートを行うほか、スイスのヨーデルフェストやドイツのオクトーバーフェストにも出場するなど活躍している。
もっと読む アルプスの心歌う日本のプロヨーデル歌手 北川桜さん
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。