先週末、スイス西部ジュラ州のアジョワ地方では、サン・マルタン祭が最高の盛り上がりを見せた。約10品もの豚肉料理から成るフルコースを出すレストランのほとんどは「満席」になった。
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9日、アジョア地方の文化的中心地ポラントリュイの町に手工芸品や特産品の市が立ち、サン・マルタン祭が幕を開けた。第22回サン・マルタン・マルシェ外部リンクのテーマは「かわいい豚さん」。今回の主賓に選ばれたのはヴォー州のボンヴィラール地方だ。
サン・マルタン祭は毎年11月の第2週末に祝われる。はるか昔から伝わる伝統の祭りだ。収穫などの農作業が終わると、農夫たちは農繁期の終わりを祝って豚をつぶし、薫製保存できる部位を除いて、残さず食べた。
祭りシーズンの台所
今では、この伝統は盛り沢山のフルコースを食べる口実になった。そういうわけで、豚は耳から尻尾まで丸ごと食べられてしまう。カロリーの過剰摂取は明々白々だが、そこに罪悪感は少しもない。
この時期、アジョア地方の肉屋やパン屋は、サン・マルタン祭に出される豚の血入りソーセージやクリームチーズのタルトを、レストランや地元の商店に卸したり、個人客に売ったりするのに大忙しだ。
サン・マルタン祭の祝い方
サン・マルタン祭の常連も初めて祭りに参加する人々もどんどん増え、「サン・マルタン祭を祝う」ためにレストランにひしめく。健康に良い食事や肉を摂らない食事を推奨する時勢とは真っ向から対立する豚肉の祭典だ。祭りでのカロリー摂取量は1日に必要なカロリーの数日分に相当する。
コース料理の内容は伝統やレストランによって様々だ。しかし、サン・マルタン祭の常連にとって欠かせないのは、豚コンソメのスープ、自家製ジュレ(豚肉のパテのゼリー寄せ)、クリーム入りブダン、アトリオ(豚レバー入りソーセージ)やソーセージのロースト、ロースト・ポークのレシュティ(粗くおろしたジャガイモをこんがり焼いたスイスドイツ語圏の料理)添え、シュークルート・ガルニ(塩漬けキャベツの千切りとハム、ベーコン、ソーセージの煮込み)、ストゥリフラート(渦巻き状の甘い揚げパン)、トッチェ(酸味と塩味が特徴のクリームチーズタルト)だ。
豚肉料理を堪能した後は、強いお酒が好きな人はダマシン(スモモの蒸留酒)に酔いしれることもできる。消化を促進する効果のあるウイキョウのハーブティーもよい。あるいは、摂取したカロリーを消費するために15時間ほど市場で過ごすのもありだ。ここ数年、地元の特産品などが並ぶ市場はますます盛況だ。
正真正銘の郷土料理
サン・マルタン祭の成功は、地元の特産品を再発見し、その土地のアイデンティティーと結びつけ、ともに飲み食いして分かち合う大切さを物語っている。出遅れた人は、17日と18日に開催される「レヴィラ」ならご馳走にありつけるかもしれない。
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